558 お人形遊び
天蓋付きの広ーいベッドにー、水色の髪した男が裸で仰向けになってるよー。瞳はトロンと恍惚しててー、もーヴァリーちゃんの虜だねー。
かくいうヴァリーちゃんもマッパなんだー。若い男と女ー、やる事と言えばアレしかないよねー。
「んふふー。ヴァリーちゃんのなか気持ちよかったかなー。夢見心地で天にも昇っちゃう気分だったでしょー」
返事はないけどー、荒い息をしてヴァリーちゃんの事を見つめてくるよー。かあいい男の子だねー。ヴァリーちゃんにメロメロじゃーん。
「身体を重ね合ってー、ヴァリーちゃんの体液が身体に染みこんじゃってるんじゃないかなー。丁寧に馴染ませるようにヤったもんねー」
人差し指で男のお腹をつーっと滑らせるとー、呻き声が返ってきたよー。欲しがりさんなんだからー。
「今なら他人であるアナタの骨もー、ヴァリーちゃんが自在に操れちゃうんじゃないかな―。ちょっと試してみよっかー」
男に見せつけるように開いた手のひらを見せてー、何かを握り潰すようにギュっと閉めるー。
「がっ! あぁ……」
目を見開いて情けない断末魔を上げるとー、血を吐き出したよー。お腹を突き破った肋骨がー、臓物を握り潰すように閉じてるねー。
「キャハハ。人生最後の体験になっちゃったねー。ヴァリーちゃん優しーからー、直々に地獄まで送り届けてあげたよー。あー、そーそー」
一頻り笑った後で、ヴァリちゃんのお腹に手を当てて魔力を込めるよー。ポワっとなかに入ってたー、白い体液を取り出すー。
「あんたの子供なんてヴァリーちゃん要らないからー、コレはオマケをつけて返してあげるー」
生命の種にヴァリーちゃんの魔力を混ぜ込んでー、男の身体の中に埋め込んだよー。
「これで新鮮なアンデットのできあがりだねー。アナタには重役を任せるからー、シッカリ役に立ってねー」
ただのアンデットを作るだけなら簡単に済ませれるー。でも人を欺けるほどとなるとー、どうしても手間がかかっちゃーう。
「趣味の悪い人形遊びね。ヘドが出るわ」
悦に浸ってたらー、女性が話しかけてきたー。
「お人形遊びも案外楽しいんだよー。童心に返ってやってみたらどー」
不機嫌な表情を浮かべる彼女にー、親愛を込めた笑みを返すよー。
「ふん。わたくしは姑息な人形遊びなんて好まなくってよ。思うがままに操るなら、もっと大々的かつ大事でないとつまらなくてね」
鼻につく態度はー、常に人を見下しているように感じられるー。
「キャハ。アナタのそーゆーゲスなところー、ヴァリーちゃんは大好きだよー。やっぱりワガママは何を利用してでも通さなくちゃー」
人が好意で笑いかけているっていうのにー、ひたすら冷たい視線を浴びせてくるよー。もうゾクゾクしちゃーう。彼女なら我の為にー、どこまでも残酷な事を仕出かしてくれるねー。
「今回のヴァリーちゃんの戦略はアナタの立ち回り次第なんだからー、小者みたいなヘマはしないでねー」
相性がいいから気に入っているけどー、不遜な態度が鼻につくから挑発してやったわー。
「アナタこそ、調子に乗って余計な行動をしないよう慎みなさい」
愚かなほど過剰な自信が頼もしいねー。せいぜいヴァリーちゃんの箱庭で演技して見せてー。期待してるんだからー。
これからの展開を想像するとー、ワクワクが止まらないやー。




