表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第9章 深怨のヴァリー
545/738

544 死の上で堪能する生

 ここ数日はパパを独占できて充実してたねー。おかげでやる気満タンだよー。

 チャチャっと行ってきてー、サクッと勇者を()って帰ってこなくっちゃー。

 二階建て一軒家の玄関でー、心配そうに眉を下げてるパパと見つめ合うよー。

「もー、そんなしょげた顔しちゃダメだよー。もっとスマイルして送り出してくれなきゃー」

 ヴァリーちゃんが両手のほっぺに人差し指をつけながらニコってするとー、パパは苦笑をしながら頭を撫でてきたよー。

「そうだな。めいっぱい楽しんでこい。()いの残らないように、全力でな」

 むー、まだヴァリーちゃんが勝つ事を信じてくれてないねー。けどいいもーん。結果を(しめ)したらー、パパだってヴァリーちゃんを褒め殺しちゃうんだからー。

吉報(きっぽう)を待っててよねー。ヴァリーちゃんにかかればー、勇者なんてケチョンケチョンなんだからー」

 堅苦(かたくる)しい正義感を利用すればー、勇者なんて手も足も出ないでしょー。みーんなバカみたいに真正面から戦いすぎなんだよねー。

「ほんとヴァリーは悪い顔がかわいいな」

「キャハ。褒め言葉として受け取っておくねー。ギュー」

「ヴァリー」

 パパに正面から抱きついてー、胸に顔を(うず)めちゃーう。ドギマギしてくれてるかなー。ヴァリーちゃんはホッとしてるよー。落ち着く匂いがするもーん。

「それじゃー行ってくるー。お土産は期待しててよねー」

 パッと離れてー、背中越しに玄関を開けて跳び出てからー、大きく手を振るー。

「いってらっしゃい。ヴァリー」

 パパが小さく手を振っている姿がー、閉じるドアに(さえぎ)られたねー。

 ホントに待ってよねー。ヴァリーちゃんは絶対に帰ってくるんだからー。

 クルリと回れ右してー、鼻歌交じりに地下鉄を目指すよー。曲はアイドルアニメのオープニングを気ままにメドレーしちゃってるー。

 そうだよねー。ヴァリーちゃんが直接手を下すまでもないんだよねー。

 足りない手駒を現地で調達してー、配置して罠にハメるだけの簡単なお仕事なんだからー。メンタルさえ揺さぶればー、過剰(かじょう)な力なんて不要なんだよー。

 あー、勇者が()ちるところを想像するだけで笑みが止まらないやー。ついでにアクアもチョチョイとやっつけちゃってー、思いっきり見下してやらないとねー。

 重要なのは環境とタイミングかなー。

「やっぱりヴァリーちゃんってば天才だねー。勇者を(おとし)める策が次々に浮かんじゃうんだもーん」

 ヴァリーちゃんの幸せは誰にも邪魔させないよー。だって人は見んなー、たくさんの(しかばね)の山の上に生きてるんだもーん。より殺せる者が幸せを掴み取るのは道理だよねー。キャハ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ