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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第9章 深怨のヴァリー
541/738

540 我欲

 なんか次の出番はヴァリーちゃんみたーい。勇者達もアクアも気が利かないよねー。一応手札は揃ったけどー、もうちょっと余裕を持たせてくれてもいと思うんだー。

 まー文句言っても(くつがえ)らないからー、戦う事に関しては受け入れるんだけどねー。キャハ。

 ちょっと前ススキがパパに色目使って調子に乗ったって聞いたんだよねー。ヴァリーちゃんのパパに手をつけるなんてあの小娘いい度胸してるー。いい加減潰しちゃおっかなー。

 けどけど最近のパパはゲッソリ気味だったしー、(しゃく)だけど元気にしてくれたのも確かだから今回はお(とが)めなしにしてあげちゃーう。

 そんなわけでー、今日は一日パパを独占して甘え倒すんだー。ススキの貧相(ひんそう)な体付きなんて忘れちゃうほどー、ヴァリーちゃんで染め上げちゃうんだからー。

 本当は二人っきりになれる遠い街中でデートしたかったんだけどー、もう地下鉄で行けるところにオシャレなところがないんだよねー。

 フォーレが侵略してるのはエルフの森でつまんないしー、グラスが侵略してる街は文字通り侵略に重点しすぎてて遊べないんだよねー。

 ヴァリーちゃんが侵略してるハードウォールは調子に乗っちゃったせいで殆ど崩壊しちゃってるしー。生存者が残ってるだけヴァリーちゃん優しーよねー。

 だから消去法の結果ヴェルダネスになっちゃったー。新鮮味にはかけるけどー、ヴァリーちゃん達がじっくり育て上げた町だからねー。美味しいお店とかはバッチリ揃ってるよー。

 ガラス製の細くてキュートなカップに盛られているパフェをー、パパと向かい合って堪能(たんのう)するー。

「おいしー。ここのマスターも腕上げたねー。パパも一緒にパフェ食べようよー」

 両足をバタバタさせながらー、一杯だけのコーヒーを(たしな)んでいるパパにもお勧めするー。絶対に美味しいんだからー。

「ははっ。俺は気持ちだけで胸が一杯だよ。俺の分までヴァリーが味わってくれ」

 微笑みながら遠慮するパパはー、やっぱり少しやつれてるー。色んな想いに押し潰されてー、人生がツラくなっちゃってるよー。ヴァリーちゃんねー、そんなパパは見ていられないんだー。

 パパにはヴァリーちゃんと同じぐらいー、人生を好き勝手楽しんでもらわないとー。だからー、邪魔者は排除しちゃわないとねー。

 スプーン(くわ)えながらむくれてるとー、パパが頭を撫でてきたよー。そーそー、こーいう幸せでいいんだよー。

「もー、パパったらー。ヴァリーちゃんがかわいいからって大胆なんだからー」

「ありがとなヴァリー。次はヴァリーの番だってのに、こんなに気丈に振る舞ってくれて。ヴァリーの方がツラいし怖いだろうに」

 あれれー、ヴァリーちゃんが悲劇のヒロインになっちゃってるー。パパってば勘違いしちゃってー。

「もー、ヤだなーパパ。ヴァリーちゃんは負けるつもりないよー」

「え?」

「情報では勇者ってばかなり弱ってるみたいじゃーん。潰すなら絶好のタイミングだよねー」

 スプーンを手で持ちながらニヤリと微笑むとー、パパってば驚いて撫でる手を止めちゃったー。

「負けて死ぬなんてありえないもーん。ヴァリーちゃんもー、パパもねー。そんな不幸な定めー、ヴァリーちゃんがブチ壊しちゃうんだからー」

 手札は揃ったしー、状況も味方してるー。後は勝って()を貫くだけだねー。

「そっか。ヴァリーは勝つ気で戦うんだな」

「もちー。パパにはヴァリーちゃんとの未来をプレゼントしてあげるー」

 ヴァリーちゃんはワガママだからー、勝ちを譲るなんてできないよー。むしろ(すえ)の妹だからこそー、兄弟の誰よりもワガママを通す権利があるんだよねー。

「さすがはヴァリーってところか。期待してるぞ」

 ヴァリーちゃんのかわいさにはパパも折れるしかないよねー。待っててねー、ススキやチェルに負けないくらーい、パパとの人生を謳歌(おうか)しちゃうんだからー。

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