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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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537 輝きの後の望み

 愛の巣が崩壊してから私たちは、案内されるままクミンについていく事になった。

 シャインが攫っていた女性達はダンスが終わってすぐに脱出していて、避難先には既に新しい町を作ってあったらしい。

 シャインが手伝いつつも、女性達と一緒に作り上げたんだって。女性だけで暮らしていけるよう、愛の巣で戦闘訓練もしていたって。

 とはいえ期間は短かったろうから、付け焼き刃もいいところな気もする。

 暑さに()だりつつも、進行を続けると目的地に到達した。

 シャインが手伝っただけあって結構立派。町の仮名はあるけど、早々に考え直すみたい。

「ここは楽園になる事間違いないだろう。ふむ、パラダイス☆シャインと名付けようか。とかほざいてたらしいよ」

 うん。却下だね。

 町に到着すると、クミンを筆頭に私たちは歓迎された。

 赤髪の強気な少女が代表して、クミンへ気軽に話しかける。

「ようこそクミン。歓迎するよ。っで、シャインは?」

「死んだよハスナ。きっちりワシが討伐してやったさ」

 シャインの死に女性達がザワついた。ショックだった、のかな。思ったよりシャインって(した)われてたんだね。ちょっと意外。

 惜しむ雰囲気で包まれているけど、暴動が起きる感じじゃない。殺気立ってるのは、幼い少女たちぐらいかな。

「そうかい。まっ、クミンにトドメを刺されたならあのバカも本望だろうね」

 ハスナと呼ばれた少女は眼を細めながら太陽を見上げた。私たちタカハシ家は全員、死んだら地獄行きだと思ってたけど、シャインに地獄って不思議と似合わないんだよね。案外、天にでも昇ってるのかな。

「感慨に(ふけ)ってるとこ悪いんだけど、ワシの服を出してくれないかい。いい加減この動きづらい服から着替えたい」

「そうさね。シャインから預かってるよ。あたいには似つかわしくない屋敷を任されてね、服を返すついでに案内するよ。寝る場所は確保しときたいだろ」

「助かるよ」

 このハスナって娘、クミンと雰囲気が似てるな。馬が合ってるのかな。

 トントン拍子で大きな屋敷へ案内されて、クミンはいつもの動きやすい服に着替えて、私はエリスと同じ部屋に案内された。

 ジャス達とは別の部屋で寝る事になるけど、クミンがこっちに来てないのが疑問かな。案外ジャスとワイズの二人部屋で、クミンだけ一人部屋って可能性もあるけども。

 あっ、シャインとエアとの戦いで受けた傷はどうにかジャスが回復してくれたよ。心ここにあらずって感じだったけど、お願いしたら動いてくれた。ジャス、大丈夫かな?

 戦いの疲れを癒やすために屋敷でまったり休んでたんだけど、なんだか外が慌ただしくなったんだよね。様子が気になって見に行ったら、男共が徒党(ととう)を組んで町に襲いかかってきてると。

 人間同士の争いに首を突っ込むつもりはなかったんだけど、(まが)いなりにシャインが守った未来をこうも簡単に潰させるのもおもしろくない。

 それにデザート・ヴェーで出会った男共ってみんな血走った目で私を含めた女に襲いかかってきてたんだよね。かなり大雑把に考えると、私も対象に入るだろうから手を貸しちゃおう。

 ってわけで一人最前線へ向かうつもりだったけれども、エリスもついてきてくれた。すごく心強くって、ちょっぴり心苦しい。

 男共と対面したら、案の定一方的に女を(かどわ)かしに来てたよ。しかも耳が早い事に、愛の巣の崩壊まで知ってたし。

 魔物の守りがなければどうとでもできるなんて抜かしてたから、久しぶりにクラーケン姿で蹂躙(じゅうりん)決めちゃった。

「女を守る魔物は一人だけじゃないんだよ。襲うつもりだったら返り討ちになる覚悟も持ってほしいね」

 男共の抑止力(よくしりょく)になるよう全力で暴れてやった。この町には魔物の守護神がついているんだぞって。エリスも驚きはしたものの、的確にサポートしてくれたよ。

 シャイン。私ができるのはこの町に滞在してる間だけだからね。けどその間だけは、シャインが大切だった物を守ってあげる。

 ごめんね。中途半端なお姉ちゃんで。

 独りよがりの罪滅ぼしだけれども、私という悪夢が広く拡散(かくさん)するよう程よく男共を撃退してやった。

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