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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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524 容赦ない攻撃が光を消しにかかる

「っでクミン、勝算はあんのか? こんな状態だが、少しは手ぇ貸してやれるぜ相棒」

 セクシーながら頼もしい背中へ、少しでも手助けになれるようにと声をかける。

「要らないよ。シャイン相手に男の援護(えんご)(かえ)って危険だからね。ふざけた事に、シャインに男は相性が悪すぎるのさ」

 そう言われちゃ押し黙るしかねぇ。薄々勘付いちゃぁいたからな。魔王シャインは相手している性別によって本気度が桁違いに変わるバカだ。

「シャインの相手はワシが一人でやってやるから、ワイズはジャスを立ち直させな。ソレでイーブンにしてやるよ」

「ははっ、責任重大でお涙でてくらぁ」

 しゃあねぇ。考えっか。何を使って、何に犠牲を払えば、ジャスを立ち直させれるかを。どんな作戦を立てても恨むんじゃねぇぞクミン。既に一蓮托生(いちれんたくしょう)だかんな。

 放心して心ここにあらず状態のジャスだ。ちょっとやそっとの事じゃどうにもなんねぇ。なのにじっくり時間かけてる余裕もないかんな。ゴリっゴリの荒治療になるぜ。

 あぁ、やだやだ。けどしゃぁねぇか。何だかんだでオレらの勇者なんだかんな。

「ふっ。こんなタイミングでクミンが出てきてくれるのは嬉しい誤算だったね。早々にゴミ掃除を終わらせ、本命のアクアとエリスのところへ飛び込む矢先だったからね。思わぬメインディッシュが滑り込んできてくれたよ」

「喜んでばかりもいられないんじゃないかい。ワシは激辛で激熱の料理だからね。舐めてっと舌が火傷(やけど)するよ」

 シャインが無防備に両腕を広げると、クミンは大剣を袈裟斬(けさぎ)りに振り抜いた。

「ぐぅぅおぉぉぉおっ!」

 右肩から左胸を経由して左脇へ深々と斬り裂かれた身体。(たま)らずシャインも悲鳴を上げてっけど、死ぬ気配がねぇ。どう考えても心臓潰れてんだろぉが。

「はっ、簡単に斬り裂けて嫌になるね。ワシの斬撃(ざんげき)はブレイブ・ブレイドより遙かに弱いんだよ」

 言われてみりゃそうだ。いくらパワー特化のドワーフ筋力を(ゆう)してるからって、ブレイブ・ブレイドより強いはずがねぇ。

 なのに身体があっさり斬り裂かれてるあたり、シャインのデタラメ性が(うかが)えるってもんだ。男を相手した時と女を相手した時とでステータスに差が出すぎだ。

「ふっ、深い愛じゃないかクミン。激しいのが好みなのかい?」

「不快になるから口を開くんじゃないよ。下からひらきにしちまうよ」

「ほぅわぁぁぁぁぁぁあっ!」

 クミンは勢いよくシャインの股へ大剣を滑り込ますと、押し上げて股間から斬り上げた。

 シャインから放たれる悲鳴の質が違う。見ていただけのオレでさえ、思わずお股が冷えちまったぜ。

 クミンのヤツ、味方ながらなんってえげつない攻撃をしやがるんだ。

「ちっ。粋のいい悲鳴を上げるじゃないかい。絶命とはほど遠いね。ドコを斬るのが正解なんだい」

 クミンは舌打ちしながら距離をとって、再びシャインへ切っ先を向けたぜ。

「ぉぉぉぉぉぉっ。ミーが不能になったら、どうするつもりなのだクミン」

 地獄の底から湧き出るような悲鳴を上げながら、血走った涙目で睨むシャインだった。

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