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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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517 非情な砂塵に心を擦り減らしながら

 比較的治安がいいと教えられた田舎町での休憩は、身体を休めれるほど静かには過ぎなかったぜ。

 エリスとアクアの部屋には毎晩、色に飢えた男共が押し()ってきやがった。軽く迎撃してるものの、リラックスなんて夢のまた夢だ。むしろ夢を見れるほど眠らせてやれ。

 ロンギングの精鋭達(ヤローども)は平和に身体を休めれたけど、エリス達にかかる負担に負い目を感じちまってる。心が休まってなさそぉだ。

 ジャスに(いた)っては負い目より焦りの方が先行しちまってる。視野が狭くなった状態のまま、それでもつき進もうとしちまってる。

 更に厄介な事に、物資を買い込もうにも店に物が少ないせいで満足な量を調達できねぇときた。

 それでも強行するって頑固な姿勢を崩さないジャスをどうにか説得して、町の手前で待機組と買い出し組に分かれて物資調達を挟む事にしたぜ。

 無論、町には泊まれねぇ。買い出しにエリスとアクアも連れていけねぇ。

 できる限り人に会わない強攻策はつらく厳しい物だったぜ。

 旅に付きものなのは魔物のオンパレード。サソリにデザートイーグル、バジリスクにアリジゴク。サボテン紛れなやつまで多種多様だ。

 中でもド(きも)を抜いたのは巨大なサンドワームだ。アクアが動かない状況でよく犠牲者が出なかった事だぜ。

 ジャスの不満が(つの)って仕方ねぇけどな。勇者のオーラが黒に近付いてっているのがわかっちまう。

 勿論砂漠の気候も無慈悲にオレ達の体力を削ってくれたぜ。暑さも寒さも嫌になる。

 そして一番厄介だったのが、魔物以上に襲いかかってきやがった賊達だ。

 もうエリスとアクアの女性ホルモンに荒くれ者が引き寄せられてんじゃねぇかって程、次々に湧いて出てきやがった。

 対人戦に限ってアクアは率先して戦うし、進んで命を絶ち斬っていく。ンでもってエリスもアクアに続くもんだから、ジャスが見れたもんじゃねぇ事になっちまった。

 魔王アスモデウス討伐の旅をしてた頃のジャスは、悪人にはソコまで慈悲深くなかったんだけどな。アクアの事を敵視しすぎて変な対抗意識が生まれちまってやがる。

 第一、程よく痛めつけて逃がしたところで、士気が半壊した状態じゃ過酷な砂漠で生き抜く事も出来ねぇと思う。簡単な見通しさえ出来なくなっちまってる状態が心配でならねぇ。

 度重なる疲労に募る不満。重くなる雰囲気。途中で立ち寄る町の不快なオーラ。ついでに平常運転のアクア。全てが噛み合ってねぇ。

 こんな状態で魔王城愛の巣まで辿り着けるのか?

 辿り着いたところで魔王シャインを倒せるのか?

 一息つけるタイミングが訪れる度に歯がみして思っちまう。

 それでも砂漠を歩み続けて数日。砂塵(さじん)に吹かれながらもオレ達は愛の巣まで辿り着いたぜ。

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