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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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516 愛が痛いではないか

 クミンをミーの愛の巣へ招待してから数日が経過したよ。

 ドワーフの小さく丸っこい四肢(しし)と鍛え上げられた筋肉の黄金比。かわいらしい外見の内に秘められた強い意志。あぁ、いくらでも眺めていられるよ。

 やはり天女を彷彿(ほうふつ)とさせる衣装を贈ったのは正解だった。顔を合わせると照れ隠しのせいかついつい手が出てしまうようだが、内心は嬉しさのあまり感情が暴れ狂っているのだろう。

 ならば恥ずかしさの受け皿として暴力の()り所になるのは、男冥利(おとこみょうり)と言っても過言ではなかろう。

 それに愛の巣での生活も気に入ってくれた様子だ。ハスナを筆頭(ひっとう)に、様々なレディ達と活動的に日々を過ごしてくれている。

 特に武術の訓練として師範(しはん)役を買って出てくれたのは嬉しい。強くなりたいレディ達の心に火をつけ、より一層の鍛錬(たんれん)(はげ)むようになってくれた。

 汗をキラめかせながら物事に打ち込む真剣なレディ達は眼福(がんぷく)でしかない。

 逆に料理やダンスなどはクミンが教えられ側になっていて新鮮な気持ちにさせられたよ。

 ドギマギしながらもひとつずつ上手くなっていくのを見守っているとほっこりさせられるね。

「なんだい気色悪い顔をしちゃって。またくだらない事でも考えてたのかい」

「ハスナか。コレは失礼。一人のレディを前にして他のレディの事を考えてしまっていたよ」

 後ろから声をかけてくれたハスナへ、丁度いいタイミングでハスナの事を想ってやれて居なかった事を素直に謝罪する。

「クソどうでもいい事を考えてた挙げ句、クソどうでもいい謝罪をするんじゃないよ!」

 ハスナの怒りと同時に、握っていたシミターが脇腹に横から刺さったよ。

「気軽に斬ってくれるではないか。が、この痛みがハスナの怒りの量だと考えるならそれもまた致し方なしかな」

「平然とわけわからん納得しないでもらえないかい」

 無造作にシミターを引き抜かれた事でダメージが加速する。今の会話のどこにそれほどまでの怒りを覚えたのかミーにはわからないよ。

 膝をつき、手で傷口を押さえながら見上げる。

「話は変わるが、(じき)に勇者一行であるアクアとエリス、あとその他が愛の巣に訪れる。ミーが倒れれば愛の巣は崩れ落ちてしまう」

「何度だって聞いたよ。その為の準備と覚悟だってしたし、クミンのおかげで最後の追い込みだってしてるところさ。だからシャイン。存分に暴れてきな」

 弱みを見せない精一杯の強がりだ。ハスナはいつだって姉としての気高さがあるね。

「やはり見ていて惚れ惚れする魂の輝きだ。今夜一緒に愛を囁きあおうぐっ!」

 とても素晴らしいアングルからの(かかと)が脳天に降ってきたよ。

「途中まで感じいい事言ってたのに、どうしてガッツいた欲望を堂々と(さら)け出すかねぇ。節操(せっそう)さえ(わきま)えれば何度かチャンスを物に出来てただろうに」

「ふっ、レディを誘わずして男ではないね。にしてもなぜレディ達は皆そうなのだろうか。特にハスナにクミンにエア。どうして君たちは即興のパーフェクトコンビネーションを常に炸裂させられるんだい?」

 付き合いが短く、おまけに敵対している仲だというのに不思議なものだよ。

「あたいにも不思議だけどね。タイミングが合っちまうぐらいシャインがふざけた事を抜かしてるからじゃないかい」

 やれやれ、理解の出来ない理由ではないか。

「まぁいい。ミーも戦いに向けて最終調整をしよう。ハスナも手伝ってくれたまえ。盛大な歓迎をせねばならんのでな。はっはっはー」

「気乗りはしないけど、付き合ってやるよ」

 ハスナは頭を掻き、盛大な溜め息を吐きながら同意してくれたよ。

 アクア、エリス。いつでもきたまえ。腰が抜けるほどのもてなしをミーが用意しているからなっ。

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