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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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508 まだ治安がいい方とは

「お客様。大きな物音がしましたが何が……コレは」

 物音に気付いた宿屋の店主が部屋を覗き、惨状(さんじょう)を確認して少し驚いたぜ。

(わり)ぃな店主。ちぃと散らかしちまった」

「いえ、それはいいのですが。やはり襲われてしまいましたか」

 やはり? って事は予測の範疇(はんちゅう)って事か。この無法が?

「そっか。おじさんはわかってて黙ってたんだね」

「下手に嬢ちゃん達の味方なになって、コイツらに目をつけられたくなかったからな」

 アクアの問いに店主は、倒れて唸っている男共を見渡しながら答えたぜ。

 まっ、一般人がこの数の男共に目をつけられたら危険だかんな。理解は出来る。

「治安の悪い町ね。オチオチ休む事も出来ないじゃないの」

「勘違いしては困るな。この町はまだ田舎の方だからまだ治安はいい方だよ」

「はぁ? 夜中にこんな大人数で襲われたのよ。治安がいいはずないじゃない」

 エリスの反発ももっともだけど、店主もウソを言っている気配がねぇ。って事は、この状況がいい方だって言い切れるほど、都会の方は治安が酷いのかよ。

 顔を引き()らせながら店主を見ると、コクリと頷いたぜ。

「この町はまだ女性のポテンシャルを多少理解しているからな。少しは(ねぎら)ってやらん事もなかった。シャインに女性を根こそぎ奪われるまでは」

 店主の言い方で、エリスが剣呑(けんのん)な気配を漂わせ始めた。かなり男を上においた物言いだが、とりあえず黙って聞こうや。

「女性を失ってから家の仕事の大変さに気付かされたし、普段から大変な事をやらせていたんだなとちょびっとばかりは思ったさ。それに女房以外の女性をこき使おうとも思っていなかった」

 アクアが苦笑いを浮かべだしたぞ。状況を語るのはいいけど、もうちょっと周囲の反応とか見ながら言葉を選んでくれねぇかねぇ。

「だが大きな街では女は都合のいい道具。いくらでも使い捨てていいし、雑用を押し付けるのに都合のいい存在なんだ。仕事は常に男が回し、女はその下地になるのが当たり前さ」

 店主は最後、(なげ)かわしいとばかりに首を横に振ったぜ。とても演技っぽくな。

「ねぇワイズ。そろそろ店主(ソイツ)も黙らせていい? 不愉快極まりないんだけど」

「せっかく説明してくれてんだから弓を引くのを止めろ。気持ちはわかっけどかなり重要な情報だぞ」

 オレだって感情が追いつかねぇよ。けど理解だけはなんとか出来たぜ。店主の言ってる事が間違ってないなら、デザート・ヴェーは元からヤベぇ地方ってこったな。

「なんか納得しちゃった」

「何がだよアクア」

「シャインの忠告。この砂漠にレディは危険だって。実感して思ったんだけど、(さら)われたクミンの方が安全かもしれないね」

 判断に困る解釈をしてくれるな。シャインが女性を根こそぎ攫ったから、女性に対する治安が極端に悪くなったとも取れるんだよな。

 けど元々の女性に対する人権も底辺だったわけで、でも攫っちまったから余計に悪化したとも考えられるわけだよな。

 ただその場合女性達の人権は地に落ちたままで。

「いやそもそも。シャインに攫われた女性達が安全とも限らねぇよな」

「そこに(いた)っては大丈夫。だってシャインだもん。女性を(ないがし)ろにできるはずがないよ」

 アクアが自信満々に断言しやがった。

 シャインの事はまだよく知らねぇが、女性をいたずらに傷つけれないタイプな気はする。気持ち悪いのは間違いねぇけも。

「なぁエリス。今回の旅路だがよぉ、街に寄らずに愛の巣まで強行突破した方がいいと思うか?」

 頭ん中で話をまとめてから、オレはエリスに投げつけた。

「それはジャスが勝手に決めればいいんじゃない。身の置き場がないだろうけど、いくらでも撃退できるし。それにロンギングの精鋭達の体力が持たないでしょ」

 強がりを交えつつ、問題点を添えて寝ているジャスに問題を丸投げしやがったか。

 どっちも一長一短だかんな。しゃあね、朝ジャスに相談すっか。

 襲ってきた男共を拘束してから眠りにつく。

 その後起きてからジャスに相談した結果。

「そんな事があったのか。わかった。三日ほどこの町に留まってロンギングの精鋭達を休ませてから、一気にシャインの魔王城を目指そう」

 と、比較的マシなこの町で休んでから強攻策をとる事に決定したぜ。

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