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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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506 色のない町

 クミンがシャインに連れ去られてから数時間。

 オレ達はどうにか近隣の小さな町まで辿り着いたぜ。

 砂漠っつーのは昼間はムチャクチャ暑いけど、夜になると凍えるほど冷えっからな。寒暖差の酷さは屈強な精鋭達をダウンさせるレベルだ。宿で休めるのはホントにありがてぇぜ。

 (ほう)けちまったジャスも休ませなきゃいけねぇし、エリス達との仲も取り持たなきゃなんねぇ。

 本来ならクミンと一緒に少しずつ修復してくとこなのによぉ、オレ一人でやらなきゃいけなくなっちまった。

 (なげ)く思いで町を一人で散策してっと、すぐに違和感を覚えたぜ。

 町全体に色がねぇ。具体的に言うなら女を一人も見かけなかった。

 話を聞くと、全員残らずシャインに連れ去られたそうな。あの馬ヤロー、徹底してやがる。

 女性を奪われた際に、抵抗した男が複数人殺される悲劇もあったとか。怒りよりも恐怖と落胆の感情に支配されちまってらぁ。

 何より町民を落胆させているのが、生活水準が(いちじる)しく低下したことらしい。

 家事全般といった、女性が得意な仕事。男が苦手な仕事が(とどこお)っちまってんだとか。人によっては致命的に生活が狂っちまったと。

 女を根こそぎ奪われるってのは、思ったよりも罪の深い行為なのかもしんねぇ。

 ただ風の噂によると、ここみたいな小さな町はまだ被害が少ない方だとか。大きな街なんかは荒れに荒れまくって毎日が流血(りゅうけつ)沙汰(ざた)になっているらしい。どんなだよ。

 っていうかこれから協力を求めにいく予定だったんだけどな。ひょっとして軍とか機能停止しちまってんじゃないか。いやまさかな。

 とにかく今は休まねぇとダメだ。クミンの事は心配だが、(さら)ったのが女好きのシャインと考えると、殺される可能性はまずないはず。

 急ぎたい気持ちもあるけど猶予(ゆうよ)だって充分にある。

 特に今回はチームの気持ちが噛み合わなすぎて危うい。せめて体力だけでも万全にしとかないと、戦いにすらならねぇ恐れもある。

 アレコレと考え込みながら宿に戻ろうとした時だ。周囲から険悪な視線が刺さってきた。

 気付いてない(てい)を装う為、視線を巡らせずに建物に入る。

 どうにもよろしくない雰囲気が立ち込めてやがんぜ。驚異的な強さは感じねぇんだが、警戒を解けねぇから気が休まんねぇ。町ん中でコレとか勘弁してくれよ。

 食欲のないロンギングの精鋭達やジャスにどうにかご飯を食べさせ、部屋ん中で休む。

 エアの羽毛布団に包まってぬくぬくしてる時だった。

 エリス達の部屋から大きな物音が聞こえてきやがったぜ。

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