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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第8章 色欲のシャイン
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501 砂漠でのお出迎え

 ソル・トゥーレでエアと死闘を演じてから一ヶ月。ボクたちは、砂漠へと足を踏み入れていた。

 昼間は灼熱(しゃくねつ)と化した太陽が肌を焼いては水分を奪い、夜は()てつくような空気が体力を奪う。

 ただでさえ環境が過酷なのに加え、ハゲタカやサソリ、アリジゴクといった魔物の撃退もしなければならない。

 死傷者こそ出していないものの、疲労は早くも極限状態だ。特にロンギングの精鋭達がバテてしまっている。

 どんな場所でも戦えるよう訓練されているはずだが、実戦となるとやはり違いが大きく出るのだろう。

 唯一ありがたい事があるとすれば、アクアの存在だった。水を出せる事がなによりの救いであり、同時に生命線にもなっている。

 ボクはフード付きの茶色いマントを被りながら、馬車を引いていた。見渡す方向全てが砂の海で、遠くが揺らいで見える。

「どうだぁジャス。なんか変わりあっか」

 右隣で同じくフード付きマントを被っているワイズが、ダレた様子で確認をとってきた。左隣には同じ姿のクミンも見張りについていた。

「見ての通り何もないよ。それよりワイズ、町への方向は確かなのかい?」

「進む方角を見る魔法は専門外だが、問題ねぇよ。地図通りに進んでんぜ」

 ワイズがそう言ってくれるなら安心だ。立っている位置も方角もわからない砂漠で彷徨(さまよ)ってしまっては一巻の終わりだからね。

「早いところ町に着いて休憩を入れたいところだね。折を見てエリス達と話し合いもしないといけないよ」

 クミンが鋭い視線をボクに突き刺してくる。

 ボクはここ一ヶ月ほど、エリスとアクアと(ろく)に会話が出来ていない。ボクの方が避けている。

 アクアを見かける度に殺意が湧いて仕方がない。剣をとってしまった事も何度かあるくらいだ。対してアクアが普段通りなのも(かん)(さわ)った。

 エリスに関してはただただ気まずい。アクアを殴り飛ばした事が怒りに触れたらしく、一方的に敵視されてしまった。

 しかもその時に出来た頬のアザが今でも消えていない事で、余計に気を悪くしてしまっていた。

「話し合って、何になるっていうんだ。いくら言葉にしたところでアクアは変わってくれないし、エリスには謝罪を受けいれてもらえない」

 視線をまっすぐ向けたまま胸の内を吐くと、両隣から溜め息が返ってきた。

 失礼な反応をしてくれる。溜め息を吐きたいのはボクの方だって言うのに。

「ん?」

 真正面から土煙を確認する。

 土煙は徐々に大きくなってくる。よく見ると馬が向かってくるところだった。

「おいおい随分馬をトバしてくるくるじゃねぇか。そんな急いでどこへ……ってオイ!」

 ワイズが驚いて身を乗り出すと、クミンが大剣に手をかけた。ボクも馬を止め、剣に手を伸ばす。

「はーはっはっ。このミー自らがお迎えに上がったよレディたち。さぁ、一緒に行こうか!」

 近付いてきたのは馬ではなく、人馬状態で高笑いする魔王シャインだった。

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