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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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478 青空に舞い散るわは

 ウチが動けないからってバカスカ上級魔法撃ってくれちゃって。しかもアクアの回復にまで回られてるし。

 ブレイブ・ブレイドどうしの衝突で発生している衝撃のおかげで矢も魔法も()れてるけど、危なっかしくて仕方ないね。

 それに、手の感覚もなくなってきてる。

 流れを掴んで動きを誘導するのは楽しかったけれども、ブレイブ・ブレイドを掴む事自体はかなりのムチャだったからね。

 反発が強くて腕もげちゃいそう。たとえ勝っても代償は大きいだろうな。

 けど勝機はある。もうちょっとでジャスのブレイブ・ブレイドを打ち砕ける。そうなったらもう誰もウチを止められない。

 幸運な事にアクアが目覚める様子もないし、このまま一気に押し切っちゃうよ。

「越えろぉぉぉぉぉお!」

 もう向こうのブレイブ・ブレイドはミシミシと(ひび)が入ってる。勇者達の攻撃はウチには届かない。

 崩壊間近のブレイブ・ブレイドに集中していたら、正面から後方へ矢が吹き飛ばされるのを目撃する。

「ぉぉぉぉぉぉおっ! おぉ?」

 なんで前から矢が?

 気になってエリスの方を見ると、必死に矢を連射している。ウチよりやや前方を狙って。

 えっと、直接狙っても衝撃波で後方に吹き飛ばされるから、前の方を狙えばウチに当たるって考えかな。

 だとしたら(やぶ)れかぶれが過ぎる気がするな。だって、矢は逸れてるんじゃなくて吹き飛ばされてるんだもん。

 今だって吹き飛ばされた矢がウチと同じ方を向いてるし。

 いくら近くまで矢を寄せれたって、ウチに(やじり)が向いてなきゃ意味がないって。

「ボムズ」

 ウチの真横で流されようとしていた矢がチカってする。

「あっ……」

 至近距離からとてつもない衝撃が襲いかかってきた。全身が揺さぶられて、態勢が崩される。

 突如きた熱さと痛みに苦しめられながら、全身からマズいが湧き出す。

 手放してしまった。ブレイブ・ブレイドがウチの制御下から外れた。

 拮抗は真正面からのぶつかり合いで成り立っていた。

 コントロールを失ったらブレイブ・ブレイドのベクトルが狂って、拮抗の条件が壊れる。

 ジャスのブレイブ・ブレイドが砕け散ると同時に、ウチのブレイブ・ブレイドも軌道が逸れてブチ壊された。

 二つの高攻撃力の(かたまり)が壊れた衝撃は、破裂する風船のような瞬間的暴風と化す。

「がっ……あっ……」

 爆発の比じゃない。暴力的な荒れ狂う風が、ウチの身体と翼を(ひしゃ)げさせる。

 赤い体液と黄色い羽根が青空に舞い散ってる。

 あぁ……もうちょっとだったのになぁ。

 まさかワイズにトドメを持ってかれちゃうなんて思ってもなかったよ。

 最後の爆発を思い返してみる。ううん。違うね。トドメは魔法(ワイズ)だったけど、その魔法を届かせたのはエリスだった。強くなったなぁ。

 眠たい(まぶた)で見上げてエリスを探すんだけど、もう塔のてっぺんが見えないや。大空への塔の壁だけが高速で動いてる。

 ()ちちゃってる。ははっ、完敗だ。でもウチも全力出し切れたから満足だよ。

 楽し、かったなぁ……。

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