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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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477 無粋でも全力で

 エアがブレイブ・ブレイドの攻略に専念し、全力で力を集中させた。

 まさしく一点集中。ブレイブ・ブレイド以外の警戒が解かれてる。今射れば回避も妨害もされない。

 ()れったさを押し殺してチャンスを待った。狙っている事がバレていようがお構いなく、闘志を燃やし続けた。

 状況をギリギリまで引きつけるつもりはなかったけれども、ようやくタイミングが巡ってきた。

 射貫くっ!

 完全に不意を突いて放ったはずの一矢は、エアが纏っていた黄色い風で逸らされてしまう。

「なっ、エリス?」

「へ? ウソでしょ。この必殺技の一騎打ちをしてるタイミングで横槍入れてきたっ!」

「チっ。完全に不意打ち出来てたのに厄介な暴風纏ってくれるじゃないの。こうなったら堂々とっ、何度だって射貫いてやろうじゃないのっ!」

 もう不意打ちなんて()らない。優位に立っているとはいえエアは硬直状態だ。届くまでいくらでも矢を放ってやる。

 ビュンビュンと矢が迫っては黄色い暴風に弾き飛ばされる。

「わわっ、危なっ。ウチが動けないからって好き勝手やりすぎじゃないかなっ!」

「うっさい。それこそアタシの自由でしょうが!」

 危機が迫り文句を言うエアだけど、やっぱり反撃や防御はしてこなかった。当然よね。目前のブレイブ・ブレイドから集中を逸らすわけにはいかないものね。

 矢を連射しながら仲間達の様子を一瞥(いちべつ)する。ワイズもクミンも呆然と攻防について見守っている。

「ワイズ魔法っ! クミンはポーションでも何でも使ってアクアを回復させてっ! ジャスはブレイブ・ブレイドを使い切ってる。この硬直が最後の勝機だからボサっとしないでっ!」

 きっと二人は、ジャスがブレイブ・ブレイドを使う時は常に見守っていたんだと思う。唯一魔王に匹敵する攻撃力を誇っているから、最後は祈る事しか出来なかったんだろう。

 けどね、そんな(てい)たらくじゃタカハシ家には勝てない。

 アタシの叱咤(しった)でハッとした二人は早々に行動しだした。ワイズが派手な上級呪文を連発し、クミンが倒れているアクアの元へと駆け寄る。

 派手な豪炎(ごうえん)や巨大な氷塊(ひょうかい)がエアに迫るも、黄色い暴風によって逸らされてしまう。

「わっ、わわっ。迫力ありすぎてシャレにならないんだけどっ!」

「くそっ。ブレイブ・ブレイドどうしの衝撃がデカすぎて上級呪文でも逸れちまう」

「ボムズで暴風の内側に爆発を起こせないの」

「ボムズは無機物を爆発させる魔法なんだ。何もない空間を爆破させれるわけじゃねぇ。岩や氷、それこそ何もなかった時は硬貨を投げて発火させてたぞ」

 初めて知った。お手軽魔法に思えてたボムズにそんな制限あっただなんて。

 ギシっ、ギシっ。

 何かが押し潰されるような音が、ジャスのブレイブ・ブレイドから聞こえだした。

 もうあんまり時間は残されてなさそう。

 アクアは? まだ目覚めそうにない。ポーションだけじゃなくて直接回復魔法をかけれたら話しも変わったんだろうけど、そう都合よくいかないわよね。

 それに、いつまでもアクアに甘えてなんていられないし。

 いつまでも負んぶ抱っこじゃ、対等に肩を並べられないもの。

 アタシだけじゃ確かにエアには敵わないけど、せめてアタシ達だけで倒さなくっちゃ。

 直撃させなくてもいい。何か傷を負わせる手段はっ。

 奥歯を噛み締めながら矢を手に取って、ひらめいた。ひょっとしたら、イケるかも。

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