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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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476 軋む刃

 ブレイブ・ブレイド同士は相殺が出来る。

 シェイとの戦いで不覚をとりながら知った事だが、おかげでエアにブレイブ・ブレイドの主導権をむりやり奪われても冷静な対処が出来た。

 エアは確かに素早いけれど、シェイのような瞬間移動じみた動きをできるわけじゃない。相殺した時の状況は必ずしも不利になるわけじゃない。

 無論。一日に放てるブレイブ・ブレイドを使い切ってしまったので決定打に欠けるが、最悪の状況は(まぬが)れる。

 むしろ期待すらある。

 高攻撃力同士が正面から相殺されるんだ。瞬間の衝撃はとてつもないものになるだろう。そしてブレイブ・ブレイドをその手で持っているエアは、至近距離で衝撃を受ける事になる。

 衝撃に翻弄(ほんろう)されている隙を突けば、ボクたちは勝てる。

 それ以上の最善も予想できる。

 エアがむりやり操作を奪ったブレイブ・ブレイドは先に出した一発目。そうすぐに力が霧散(むさん)するようなやわな必殺技じゃないけれど、少なからず消耗をしているはず。加えてムリに主導権を奪われた攻撃だ。力がより拡散している可能性も充分にある。

 だとすれば、相殺を超えて打ち破る事だって考えられる。状況はボクたちの方が有利だ。

 期待を込めたブレイブ・ブレイドが、エアに主導権を奪われたブレイブ・ブレイドと正面衝突をする。

 鍔迫(つばぜ)り合いのように互いを押し合って拮抗(きっこう)している向こうで、心底勝負を楽しんでいるような黄色い笑みを浮かべる。

「随分余裕そうじゃないかエア」

「余裕なんてないんだけどね。けどすっごく楽しい。全力で勝負を挑むのって、どうしてこうも生きてるって感じがするんだろうね」

「よかったな。だったらどんな結果になっても、満足できるんじゃないか」

 例え敗北し、翼をもがれたとしても。

 今は互角の押し合いをしているけれども、先に押されるのはエアの方だ。

「満足は出来るけど残念でもあるかな。この楽しい時間が、もうすぐ終わっちゃうんだからね」

「なっ!」

 エアのブレイブ・ブレイドが、ボクのブレイブ・ブレイドを押し込みだしただと。バカなっ。

「なんでそんなに驚いちゃうかな? ひょっとして力尽くでブレイブ・ブレイドに言う事聞かせてるって思っちゃった?」

「力尽くじゃなかったらなんだって言うんだ」

「力の流れとかクセとかを掴んで乗りこなしてるんだよ。自然とコントロール出来れば、ウチの(ちから)乗算(じょうざん)させる事だって出来るんだから」

 打ち破られようとしている。ボクのブレイブ・ブレイドが、エアのブレイブ・ブレイドに。デタラメすぎる。コレが、魔王エアの恐ろしさなのか。

 ブレイブ・ブレイドが、僕の心が音を立てて打ち砕かれようとしている。

「一気に決めるよっ! フルパワー!」

 エアが気合いを入れると。黄色い風を纏わせる。

 止められない。止まらない。拮抗が打ち破られる。

 押し潰すように迫り来る敗北へ、ビュっと一本の矢が割り込んだ。

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