表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
475/738

474 ドッグファイトみたいな

「ブレイブ・ブレイド!」

 きた。勇者ジャスが誇る最高火力の必殺技。ブレイブ・ブレイドを堪能しないで戦いを終わらせるなんてつまんないもんね。

「そぉぉれっ!」

 両手に魔力を溜めて挨拶代わりの風圧を放ちながら、翼を羽ばたかせて逃げに入る。案の定、風魔法は簡単に斬り落とされた。

「風をも切り裂く切れ味。パワーは申し分ないね。けどスピードだったらどうかな」

 吹きすさむ風に乗りながら青空を飛び回る。今日のウチはすっごく()えてる。生きてきた中で一番自由に風に乗れてる。

「たいした速さだが、ボクのブレイブ・ブレイドはどんなに逃げても最後には必ず追いついて、敵を切り裂く」

 飛びながらチラリと後方を見る。ジャスの言ってるとおり、少しずつ距離を詰めてきてる。このスリル、堪んないね。

「あははっ。ホントにウチに迫ってきてる。けどそう簡単には追いつかせないから!」

 右へ左へ旋回しながら勇者達の様子をう伺う。

 さすがはジャスだね。念のためなのか二発目のブレイブ・ブレイドを溜めてる。いい勝負勘だよ。さすがはアスモのおじさんを討伐して、アクア・デッド・シェイとの戦いを経験しただけあるね。

 ワイズとクミンはジャスに任せきってる感があるかな。勝負の行方を見守ってる感じ。けど何かがあったら瞬間的に動いてきそうだね。

 そしてエリスは、油断ないね。ウチに睨みを利かせながら弓を引き絞ってる。どっかで射貫いてくる気満々だよ。けど殺意が押さえ切れてない。バレバレなのが惜しいね。

 大きく翼を羽ばたかせながら宙返りもしてみたんだけど、全然振り切れない。

「イケるぜ。ドンドン差が縮まってきてらぁ」

「スピードに自信があったようだけど、力を過信しすぎたようだね」

 ウチがちょっと劣勢になった途端に言いたい放題言ってくれるね。希望の光が射したかのような笑顔を浮かべてる。

 まっ、確かに逃げ切る事は出来なさそうだけどね。にしてもしつこいくらいウチのプリチィなおしりに付き纏ってくれるなぁ。ドッグファイトしてるみたいで楽しくはあるんだけどね。

 っと、そんなのんきな事考えてる暇もないくらいに距離が近くなってきたよ。そろそろ覚悟を決めなくっちゃ。

 息を大きく吸い込みながら距離を測る。まだだ。もっと引きつけて。ギリギリを見極めなきゃ……今っ!

「かぁっ!」

 口から下方向に風魔法を放ちながら急ブレーキをかける。風圧の反動で身体が浮いた瞬間、ブレイブ・ブレイドがウチの下を通り過ぎる。

「なっ、ブレイブ・ブレイドを(かわ)しただとっ!」

「あの距離スレスレでかいっ!」

「まだだよっ!」

 そして通り過ぎるブレイブ・ブレイドの末端両端を、魔力を込めた手で掴んだ。

「まさか、ブレイブ・ブレイドを捕まえたのか」

「って、わぁぁぁぁあっ!」

 ウチよりも速いスピードで暴れ回るブレイブ・ブレイドに振り回されながらも、掴んだ手に力を込める。

 うっとうしい羽虫を振り払わんとするばかりに動き回ってくれるよ。

 ウチが翻弄(ほんろう)されるんてとんだ暴れ馬だね。しかも勇者の力を込められてるだけあって、掴んでるだけで両手が痛いし。

 けど標的に真後ろをとられて暴れ回るって事は、180°急旋回なんて出来ないって事だよね。

 だったらやれるよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ