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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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470 自由落下に抗って

「そぉぉぉれっ!」

「わぁぁぁぁあっ!」

 エアが私を引きずり回すように飛びながら、更に高くへと放り投げた。身体が風圧の壁を突き破ったと思ったら、次の瞬間には心臓が浮き出ちゃうような浮遊感に襲われる。

 落ちる。落ちてる。

 放り投げられただけで必殺の一撃になり()る高さ。このまま落下に身を任せたらそれだけで終わっちゃう。

 なんとかして落下の勢いを殺さないと。

 両手両足を広げて水を纏う。やるんだ。思いつく限りの抵抗……

「そのままアクアが足掻くのを許すと思ってる? ウチの全力はそこまで甘くないよ」

「なっ!」

 背中からエアの声が追いついてきたと思ったら、伸ばしていた両腕を捕まれた。首の後ろでクロスさせながら左右に引っ張られたと思ったら、両の太ももをかぎ爪でガッチリ掴んで引っ張ってくる。

「ウソでしょエアっ! この高さから技を()めるつもり」

「当然。必殺技(フェイバリット)っていったら大空から技極めながら墜とすものでしょ」

「どこの世界の常識よぉぉぉお!」

 思わず涙目になって叫んじゃったけど、私悪くないよね。

 落下してるだけでも驚異的だっていうのに、技まで極めてこないでよ。二の腕とお腹がギチギチして痛いって。風圧凄すぎて息もしづらいし。

「もぉぉぉぉおっ! こうなったら本気で抗ってやるぅ!」

 この態勢じゃ手から地面へ水圧を発射し続けて落下速度を抑えるなんて不可能。下方から私たちに向かって水流を発射してみる?

 ダメだ。角度と強さを計り損なったら水流が致命傷になっちゃう。なら。

 気体中の水分を集めて水で私たちを包み込む。直に水中に入って、水の抵抗で落下速度を殺すしか……

 強引に水に包まれたのも束の間、一瞬で落下して水中を突き破ってしまう。

「そんなっ」

「こんな程度の水じゃ空の力は抑えられないよ」

 ぐっ、でもコレしか抗う術なんて思いつかない。だったら、何度だって連続で水中を作り出してやる。

 水球に包まれては、水風船を貫通するように落下を繰り返す。勢いが落ちない。

 なら水球の内側に上向きの流れを作ったら。

 抗う流れを持つ水球に包まれた瞬間、全身に重い水圧がのしかかってきてた。そして即座に弾ける水球。

「ぐぁ、がはっ。きつぅ」

「へー、おもしろいじゃん。こっからは根比べだね」

 けど少し速度が弱まったような気がする。後はもう水球の連続で勢いを殺しきるしかない。

 水圧に押し潰される度に意識が飛びそうになるけど、同時に水の冷たさが気付けにもなる。

 ドンドンと大空への塔の床が近付いてきた。

 殺せっ。殺せっ。殺しきれっ!

 衝突する前にっ、なんとしてもっ……

「はぁぁぁあっ! 破翼落鳳撃(ウィング・ブレイカー)!」

 床に叩きつけられた胸から全身へ衝撃が響いて、脳が()さ……

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