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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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465 避けられぬ強風

「戦いに入る前にワイズを解放する予定だったんだけど、なんでかもう鳥かごから出ちゃってるんだよね。どうしてかなアクア?」

 黄色い翼を羽ばたかせながら、ふわりと(くう)に浮き出すエア。

「殺す気なさそうだったら先に助け出しちゃった。エアだって勇者一行は揃ってた方がよかったでしょ」

 アクアはトライデントを精製すると、腰を低くして構える。

「まぁね。ワイズの到着が遅れてるのは気になるけど、途中から合流するでしょ。楽しみはとっときますか。それじゃシャイン、手はず通りにお願いね」

 シャインが人の姿のままエアの隣まで歩み寄ると、カイトシールドとランスを手にボクたちに視線を飛ばしてきた。

「少々不服だが、任せたまえ。ホントはレディ達三人のお相手をしていたかったけどね」

「それじゃ、開幕は派手にいこっか」

 エアは大きく羽ばたいて上空へと飛び出すと、手に風の塊を作って急降下してくる。

 来る……けど、どこへ?

 エアが急降下する先には何もない。強いて特徴をあげるなら、戦場の真ん中ぐらいといったところか。

 視界の端では、シャインがランスを床に突き立て、何かに備えている。

「マズい。吹き飛ばされないように踏ん張って。強風が来る!」

 アクアが叫ぶなりにエリスを左腕で抱きながらトライデントを床に突き立てた。

「そーれっ!」

 慌てて踏ん張るボクとクミン。エアが風の塊を床にぶつけると、風船が破裂したような勢いの強風が全方向へと発生した。

「うわぁぁぁぁあ!」

 踏ん張っていた足が宙に浮き、転がりながら吹き飛ばされる。なんとか剣を床に突き立てて強風に抗う。

 クミンも同様の手段で耐えていたが、抗う(すべ)もないジャーレフ達の身体は空へと吹き飛ばされ、塔から落ちてゆく。

「なっ、なんてことをするんだ!」

 無様に殺すどころか、肉体の供養(くよう)さえゆるさないだなんて。

「なんで怒ってるの? 戦場に物が転がってても邪魔なだけでしょ。それに鳥神に祈りし誇り高い空の勇者なんだよ。空に散るならむしろ光栄なぐらいじゃないかな」

「ふざけんなっ!」

 塔の端まで吹き飛ばされて出来てしまった距離を、怒り任せに駆けて突きを放つ。がっ、ギンと大きなカイトシールドに阻まれてしまった。

「おっと、(しばら)く君の相手をするのはミーだよ。エアからアクアと戦っている間、君たちを足止めして欲しいと頼まれているからねっ!」

 言葉尻に振り回されたランスを、バックステップで躱す。

「そのまま勇者達の引きつけお願いね。その間にアクアを仕留めちゃうから」

 鋭く黄色い眼差しがアクアを捉えた。

「アクアから崩すつもりか。だが狙いがわかってるならこっちにもやりようが……」

「なら君が一人でミーを引き受けるかい?」

 シャインはボクに問いかけながら、背後から襲いかかるクミンの一撃を盾で受け止めた。

 できるわけがない。ボクたち四人でタカハシ家の一人とようやく戦いになるぐらいの戦力だ。アクアのサポートに戦力を裂いたら、ボクたちが先に潰される。

「気づいたね。逆に言えばアクア一人加入する事で戦力が勇者にひっくり返ってしまうんだ。だからエアはミーに援護を頼んだのさ」

 シャインのしたり顔が憎たらしい。

「そういうわけだからアクア、ウチとお空のデートを付き合ってよね」

「いくらエアの頼みだからって、お空までデートへ行くのは勘弁してもらいたいかな。塔の床まででデートコースは打ち切らせてもらうから」

 タカハシ家のペースで戦いを二分化される。流れの悪さを禁じ得なかった。

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