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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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463 救出

 クミンとエリスが放つ焼き尽くすような殺意を背に受けながら、ワイズが囚われている鳥かごへと向かう。

 鳥かごまでは長方形をした板状の足場が浮いており、足をかけた瞬間に落ちやしないかと不安を(あお)られる。

 ドアまで近付いて開けようとしたけど、やはり鍵がかけられていた。

 試しに全力で剣を叩きつけてみる。

 重い金属音が響くだけで、開く気配が感じられない。

「くっ、やはりそう簡単には開かないか」

「うっ……せぇなぁ。頭に響くじゃねぇか」

 ワイズが頭を抱えながら(しか)めっ(つら)で身じろぎして、音の発生源に顔を向けた。(うつ)ろげな茶色い瞳がボクたちを映す。

「おっ、ジャス達じゃねぇか。この布団フッカフカで気持ちよくていい匂いすんだぜ」

 ボクたちを認識したというのに身体を起こさないどころか、布団のかけ直しまでやってのける。

「鳥かごの中は快適そうじゃないかい。陽当たりもよさそうだしよかったよ。コレで先を急げるってもんだ」

 クミン、ワイズを見捨てちゃダメだからね。

「聞きたいんだけどアクア、時間切れがきたらあの鳥かごどうなると思う」

「浮いてるからね。シンプルに地上まで落下するんじゃないかな」

「じゃあ鳥かごがそのまま棺桶(かんおけ)になるわけね」

 この高さから落ちたら鳥かごもぺちゃんこになるからね。潰れた棺桶になってしまうからね。

「そいつはおっかねぇなぁ。そんな事聞いたら夢見が悪くて仕方ねぇぜ」

「いやワイズもさっさとベッドから起き上がってくれないかな。このままだとホントに助けられなくなっちゃうから」

 ワイズは仕方ねぇなぁと言わんばかりに気怠げに起き上がると、サイドテーブルに置いてあった水を飲んでからヨロヨロと歩いてきた。

「フーっ、少しだけ体調がマシになったかな。全っ然動ける気はしねぇけどな。んで、このドアはどう開けるよ?」

 少しだけ休めたとはいえ、二時間弱じゃ二日酔いなんて収まらないか。

「中から魔法で壊せないのか」

()たくって試してなかったけど、たぶんムリだろ。エア自身が開けてくれるか、(ある)いはアクアのパワーだったら可能かもしんねえけどな」

 ワイズが視線で示し、ボクも振り向く。正直アクアがこのタイミングで手助けしてくれるとは思えないけど。

「別に助けてもいいけど。たぶんエアもワイズをこのタイミングで殺す気なかっただろうし」

 期待せずに眺めていたのだけれど、呆気(あっけ)なくアクアはトライデントを精製しだした。

「ちゃちゃっとドアを壊しちゃうから、二人とも離れててね。カジキっ!」

 アクアは注意を促しておきながら、ボクたちに退避(たいひ)する猶予(ゆうよ)も与えずに動き出した。階段から離れた壁まで跳び、足のバネを使って勢いよく全力の突きを放つ。

 ここ? ここでブレイブ・ブレイドと競り合う為に放ったカジキを使うの?

 ボクは急いで階段まで跳び、ワイズは衝撃に備えて伏せる。

 アクアはドアを(ひしゃ)げさせながらぶち破り、勢い余って鳥かごの中へと転がり込んでいった。

 唐突にむちゃをしないでくれなかな。

 破壊力の凄まじさに、ただただ呆然としてしまったよ。

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