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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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459 空を目指して

 ワイズが、魔王エアに連れ去られてしまった。幼く平和な頃を共に過ごし、勇者になってからも隣で支えてくれた唯一無二の戦友が。

 だというのに、あまり焦っていないボクがいる。

 おかしな話、敵を信用できてしまっている。突きつけられた競争に敗北したり、時間制限を超えない限り安全は確保されるだろうと。

「退路は完全に断たれてしまったけどね」

 もうワイズもエアも空へ消えてしまった。もう覚悟を決めて進むだけだ。彼らを守りながら。

 覚悟を決めながらジャーレフに視線を送る。自信に満ちた頷きが返ってきた。

「仲間の魔法使いの事はオイラ達に任せるといい、と言ってもジャス達は登るのであろう」

「腐れ縁とは言え付き合いも長いからね、見捨てられないよ」

「ちょっとだらしないところもあるけど、アタシにとって偉大な先人だからね」

 クミンとエリスが渋々といった雰囲気を(かも)しつつも、ワイズの救出に意欲を示す。アクアだけはノーコメントで魔王城を見上げていた。

「頼りになる仲間だから。そして苦楽を共に過ごした親友だからね。何が何でもボクたちで助け出す。だから、共同戦線を組まないか」

 仲間を助けたいけどボクたちじゃ力が足りないから助けてくれ、とジャーレフ達からは見えるはずだ。

 提案を受け入れる事でボクたちは軟弱者になり、ジャーレフ達は器のでかさを示せる事になる。乗ってきてくれるはずだ。そうすれば守りながらじっくりと進む事が出来る。

「頭を下げてそこまで頼み込むなら仕方あるまい。忸怩(じくじ)たる思いで頼んできたのだ、突っぱねてしまっては勇者の名折れとなろう」

 すごくマウントを取りながら差し出された手。ボクは堅く握る事で交渉を成立させた。

 ロンギングの精鋭達に馬車の番を頼み、ボクたちはジャーレフ達と共に大空への塔へと足を踏み入れた。

 視界一面に映った青空の色。昼間の晴天を切り取ったような室内には、幅の広い螺旋階段がひたすら頂上へ伸びていた。

「冗談でしょ。こんな長くて危険な階段をひたすら登れっていうの」

「手すりどころか柵すらないなんてね。足を踏み外したら真っ逆さまだね」

 シンプルかつ大胆な魔王城を作るじゃないか。まさか階段以外何もない、ただひたすら雲の向こうまで登る魔王城を用意するなんてね。

 高さはそれだけで恐怖になる。おそらく妨害も加わる事だろう。心が折れたら足が竦んでしまうはずだ。

 登る前から、空という凶器を思い知らされてしまったよ。

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