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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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454 避けられぬ仇敵

 祭りが終わり宿へ戻ってからボクは、ワイズとクミンと三人で部屋に集まっていた。エリスとアクアは疲れたのか既に眠りについている。

「ジャスも変なモンに絡まれたな。空の勇者ジャーレフだっけか。威勢だけよくってウザってぇだけだったろ」

 顔を赤くして上機嫌になっているワイズが、ボクの肩をバンバン叩きながら言ってきた。祭りでかなり()んだな。

「そんな事はないさ。一方的に敵視されてはいたけれども、サッパリとした気持ちのいい男だよ」

 自分の役目に誇りと自信を持っていて、何より希望を持ってまっすぐに生きている。ボクが持てなかった心の強さ。(うらや)む以上に()かれてしまった。

「へえ。少しはらしさが戻ってきたようだねジャス。(たわむ)れに競い合うのも悪くないんじゃないかい。競うものがデカすぎるのが悩みどころだけれどものね」

 ソル・トゥーレの平和を懸けて魔王エアに挑む。命懸けと言うには生存率があまりにも低すぎる。

「わかっているさ。けどジャーレフは本気だ。ボクたちがどれだけ説得しても止まらないだろう」

「聞く耳を持つかも怪しいぜ」

 説得する事で逆に闘争心に火がつくのがありありとわかってしまう。(はぐ)れずに近くにいる以外、彼を守る術はないだろうな。

「どうして勇者は、守りながら戦わないといけないんだろうな」

「そりゃあジャス、見捨てられないからだろう」

「守り切って勝つのが格好いいんだろぉが。手伝ってやるから、勇士を(おが)ませろや」

 弱音のような呟きを、クミンが拾ってワイズがちゃかすように勇気づけてくれる。

「ありがとう。ねぇ、もしもエフィーがここにいたら、どう言葉をかけてくれたかな」

 冷静沈着でありながら親馬鹿なエルフの美男子。弓による的確な援護には何度助けられたか。

 そんな気の置けない仲間だったエフィーを殺したのが、次相対する魔王エア。

「さぁな。けどどの道、負けられる相手じゃねぇわな」

「肌の合わないエルフだったけど、失いたい仲間じゃなかったからねえ」

 ワイズが真剣な眼差しをし、クミンが手をドスリと叩く。湧き出る戦意に釣られてしまいそうだ。

「堂々と宣戦布告してきた事を後悔させてやんなくっちゃなぁ。ところでよぉ、エアが連れ去っていった男は何者だ?」

 ワイズの疑問にボクはどう答えていいか迷った。クミンが(わず)わしそうに視線を逸らす。

「魔王シャインって言うらしい」

「はぁ?」

「エアの助っ人みたいだよ。ワシらは昼間に三人揃ってナンパされたよ。とにかく気に食わない軟弱な男だったね」

 驚いた。昼間クミン達にそんな事があっただなんて。

「ナンパって。そういや祭りの時も踊り子のねぇちゃんにナンパしてやがったな。オレだってあの場では控えてたってのに(ふて)ぇヤローだぜ。叩きのめしてやんねぇと」

 ワイズ。憤慨(ふんがい)してるのはいいけど、祭りが終わったら声かけるつもりだったのかい。

「ワイズも対して変わらないじゃないかい」

 クミンと一緒に呆れながら、眠くなるまで会話を続けたよ。

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