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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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452 帰還の翼

 シャインを足で掴んでぶら下げながら、夜空を駆けて大空への塔を目指す。

 夜風も心地いいね。ソル・トゥーレに辿り着いたときに盗み見た勇者の表情が優れないようだったから心配してたけど、空の勇者と話して少し(けん)が取れたんだよね。

「風のような爽やかな表情、とまではいかなかったけどね。けどコンディションがよくなったなら万々歳(ばんばんざい)だよ。楽しい戦いになりそう」

 空の勇者もいい働きをしてくれたよ。相対するときにはちょっとだけサービスしてあげなくっちゃね。

「まったく。夜はこれからだというのにミーを祭りから遠ざけるなんてね。エアも嫉妬が深くて困りものだ」

 足下にぶら下げた荷物がブツブツと文句を言い出した。荒野に不法投棄したい気持ちが湧き出て困るね。ウチの侵略地なんだから荒らさないでほしいよ。

「しかしよかったのかいエア。アクアと話したい事もあっただろうに」

 誰のせいで切り上げなきゃいけなくなったと思ってるんだろ。シャインをペアに選んだの失敗だったかな。

「時間がなかったってのもあったけど、顔を見たら思ったより平気そうだったからまぁいっかってなったんだよね」

 シェイを死に際を見ちゃって落ち込んでるかなって思ってたんだけどね。

 とは言え(まった)く話さないのも嫌だから、むりやり時間は作るつもり。

「ちなみにミーは昼間、アクアを含めた勇者レディたちに会ったよ。アクアからはミー達と話す事なんてないって素っ気ない態度だったけどね。はっはっはっ」

 高笑いしててアレだけどさ、アクアが話したくないのってウチらじゃなくてシャインオンリーだよね。都合の悪い解釈を勝手に広めないでくれるかな。

 やっぱり荒野に捨てるべきかな。荒野に悪影響でそうだから捨てられないけども。

 あとはエリスだったかな。とっさの判断で殺しちゃったエフィーの娘。さぞ殺意が高くて戦い甲斐がありそうかなって思ってたんだけど、なんかつむじ風のような迷いを感じたんだよね。冷たかった殺意が温かなものに触れて発生しちゃったような感じ。

 一時的な気の迷いならいいんだけどね。ある意味では一番楽しみな相手なんだし。

「エアよ。夜空の散歩もオツなものではないか。ここはひとつ、ムードのある歌なんか口ずさんでみてもいいのではないか」

 シャインっていちいち思考をぶった切ってくれるよね。まぁ気分を切り替えるにはもってこいだけれども。

「それだったら空を飛んでるときに言いたくなる、とっておきの呪文を知ってるよ」

「恋の呪文とはまた捨てがたいではないか。唱えてみたまえ」

「カカッカカッカカロッカカッカカロ……」

「その呪文は青空を飛んでいるときの隠しコマンドではなかったか」

 あシャインも知ってたんだ。妙にフレーズが気に入ってて、昔は一人で飛んでるときよく口にしたんだよね。

 そんなこんなでウチは、シャインと戯れながら大空への塔の最上階まで飛んでいったよ。急上昇によってシャインが苦しむ事になったのは仕方ない事だよね。ニヤリ。

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