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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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447 女尊男卑

「はははっ。そんなに見つめないでくれたまえよレディたち。ミー取り合いたくなる気持ちもわかるけども、仲良くしようではないか」

 髪をかき上げながら高笑いしだしたんだけど、コイツ何言ってんの?

「ねぇアクア。どうにも思い出せないんだけどさ、コイツってロンギング襲撃の時、いた?」

 一人ハイテンションになっている変人を差し置いて、アクアへこそこそと問いかける。

「ワシも疑問に思ってるね。あの時のタカハシ家は印象強かったから全員覚えたつもりではあるんだけど、どうもアイツはピンとこない」

 クミンも同様に(いぶか)しんでいるわ。強敵を油断なく(にら)んでいたのに、徐々に関わりを持ちたくないといっためんどくさい表情へシフトしていってる。

「シャインはランスと盾持って女性部隊をひたすら口説(くど)いてたよ」

 なんだろう。(うっす)らとそんなバカがいたような気がしてきた。印象が薄いわけじゃ断じてないんだけど、他のタカハシ家と同じ枠で括れない悪目立ちをしていたから。

 アタシがようやく合点がいった(かたわ)らで、クミンはまだ首を傾げている。よっぽど視界の外にいたみたいね。

「あー、そうそう。建前上敵だからといって、今すぐ戦うのはやめた方が賢明だよ。町にいる一般レディ達が巻き込まれかねないからね」

 確かにこんな町中で戦ったら色んな人を巻き込んじゃう危険があるけれども、一般レディって何よ?

「相変わらず男の人はどう巻き込まれて死んでもどうでもいい考えなんだね」

「どうでもよくはないさ。むしろ積極的に消えてもらうべきだろう」

 シャインは両腕を広げて然も当然といわんばかりの態度をとる。

 コイツ、ふざけた考えとイカれた精神を持ち合わせてる。生理的に受け付けられない。

「だから今は()わしき敵対関係など忘れて、ミーと甘いひとときを過ごそうではないか」

 無警戒に歩み寄ってくるシャインの圧に、思わずたじろいてしまう。怖いとかじゃなくて、キモい。

「だから私たちはご飯食べたばっかなんだって。これ以上食べたら太っちゃうよ」

「そうか。美貌を維持するの大変だからね。けど久しぶりに会ったんだ。積もる話でもあるんじゃないのかいアクア」

「シャインにはないかな」

 シャインの威圧をアクアが冷たい笑顔で受け流してる。

「まぁいいさ。今日はたまたま顔を見かけただけだから、挨拶だけで終わらせてもらうよ。ミーの事を待っているまだ見ぬソル・トゥーレ美人に会いに行かねばならないからね」

 何が愉快なのか高笑いしながらシャインが去って行ったわ。そしてアンタの事なんか誰も待ってないわよ。

 アクアと一緒に高い背中が見えなくなるまで眺めた。ホントに行ったわね。

「アクア。シャインはホントに強いのかい? 戦意を微塵も感じなかったよ」

「わからない、けど私たちが戦えば絶対に負けないよ」

 クミンの疑問に、アクアが歯切れの悪い答えを返した。

「って事は、弱いんじゃないの」

「えっと。兄弟で模擬戦(もぎせん)をするとね、シャインは決まって二勝五敗になるの」

 タカハシ家で行われてた一対一での実戦訓練の総当たり戦よね。二勝五敗って弱い方の部類じゃないのかしら。

「で内容なんだけど、毎回兄弟相手に二勝して、姉妹相手に五敗してるのよ」

「毎回同じ相手に勝って同じ相手に負けてるって、かなり歪じゃないかい」

「シャインは女の子には甘々で男の子には殺意むき出しになるから。戦績がアテにならないんだよね」

「何ソレ」

 ホントにふざけたバカじゃないの。あんなのが兄弟にいるなんてアクアも不憫(ふびん)でしょうがないわ。

「だから私たちが戦ったら負ける事はないけど、ジャスやワイズが戦ったら殺されちゃうかもしれないんだよね」

 もう、なんってコメントしていいかわかんないわ。

「今回の戦い、思った以上に何が飛び出してくるかわからない戦いになるよ。覚悟しといてねエリス」

 戦ってもないのに、勘弁してよねって気持ちでお腹いっぱいよ。

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