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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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445 ソル・トゥーレの歴史

 野性味溢れる木造の建物は全て一階建てで、さほど大きくはない。枯れたような土地でありながら川が流れているので意外と農業も出来ているようだ。

 行き交う人々はみな肌が焼けていて、(あさ)の服に羽根飾りの装飾品を身に纏っている。元気に逞しく働いていて、前向きに生きている事が窺える。

 ボクたちはエアの魔王城に驚愕しつつも、ソル・トゥーレに辿り着いた。

 侵略をされているとは思えないほど活気に溢れていて、眺めているだけで逞しさを感じさせられる。

 早速宿を取り、情報収集へ繰り出す。とりあえずは町長から被害の実態について話を聞かなければ。

 自己紹介をして家に入れてもらうと、皺だらけの痩せ細ったおじいさんが対応をしてくれた。町長と長老を言い間違えてしまっただろうか。

 床に座り込んで、聞いてもいないのにソル・トゥーレの歴史についてから聞かされてしまう。

 人が生きていくには過酷な地であり、食べ物もろくに手に入れられない環境で細々と生きていた。

 死がすぐ隣にあり、隣人どころか己さえも飲み込まれるのではという恐怖を常に抱く日常。

 そんな悲惨な状況に見かねた神が、聖なる鳥を遣わして下さった。

 聖なる鳥は人々を強大な外敵から守り、枯れた大地に水を沸き起こし、作物を育てられる豊かな地を与えて下さった。

 我々は聖なる鳥に感謝すべく、住処である太陽の塔に供物を捧げ、祭りを執り行う事で感謝の意を捧げていた。

 ソル・トゥーレで町を代表する若者から空の勇者を選出し、無事に過酷な祭りをやり遂げる事で町の息災(そくさい)祈願(きがん)してきたのだ。

 どこよりも高い太陽の塔こそが、ソル・トゥーレの平和の象徴(しょうちょう)じゃった。

 だが近くに太陽の塔よりも高い塔が突如として現れてしまった。

 その日から魔物が活性化し、聖なる鳥のご加護が徐々に薄れていった。作物の育ちも悪くなり、湧き出る水の量も少なくなっておる。

 聖なる鳥がお怒りになられておる。

 いち早く忌わしき塔を破壊し、太陽の塔の威厳を取り戻さねばならない。

 今夜は新たに選ばれた空の勇者の健闘を称える祭りがあるのじゃ。よろしければイッコクの勇者様にも参加していただきたいところでございます。

 作法については気になさらなくて構いません。遠くから駐在する冒険者の方々も参加できる気軽な祭りに待っております故、楽しんで騒いでいただければ空の勇者を鼓舞(こぶ)する事になります。

 とまあどこか盲信じみた話を長々と聞かされてしまった。それも大真面目に。

 どこか考えがズレている気がしなくもないけれども、地方の祭りには興味を感じられる。

 何より人々が力強く生きている姿を見るのは好きなので、とりあえず今夜の祭りには参加をする事にした。

 情報収集は祭りの後に腰を据えてやろう。

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