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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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444 一番高い塔

 鳥系魔物の襲撃を受けながらソル・トゥーレへと進んでいたら、いつの間にか遠くに二本の塔が見えるようになった。

 双方とも雲の突き抜けるほど高く、頂上が見えないぐらいだ。

「あんなに高い塔がふたつもあるなんて驚いたな。片方は太陽の塔だろうけど、もう片方はなんだろう」

「あんだけ存在感あんのに噂にもなってねぇなんてな。やっぱ有名どころも実際見てみねぇと何があんのかわかんねぇなぁ」

 ボクの問いにワイズが感嘆の声を上げながら応じる。手で(ひさし)を作って遠くを眺める姿はさながら少年っぽい無邪気さを感じさせる。

「あんな高い塔どうやって建てたのかしら」

伝承(でんしょう)によるとこの地を守護する神獣が神の力で建てたらしいよ。なんでも悪しき者を早急に見つけ出す為の監視塔だとか。太陽の塔の方はね」

 エリスが疑問を口にすると、クミンが説明をした。太陽の塔の方は納得が出来るわけだが、もう片方はなんなんだろうか。実は二本セットで太陽の塔なのだろうか。

 みんなが感心して眺めている中、アクアだけが呆然とした様子で塔を見上げていた。なんとも嫌そうな、うわぁが漏れる。

「どうしたのよアクア。ゲンナリした声を上げて」

「私ね、もう片方の塔に心当たりあるんだよね」

 アクアは強いだけじゃなくて博識(はくしき)でもあるのか。

 違うな。そういえば、家族全員で侵略予定地の下調べをしたとか言っていたっけ。それで知っていた……いやそれだと心当たりがあるなんて言い方しないか。

「心当たりね。いいわ、当てずっぽでもいいから言ってみなさいよ」

「たぶんアレ、エアのお城だよ」

「……は?」

 強気だったエリスから間抜けな声が漏れる。その声はボクたち全員の感想でもあった。

「お父さんから聞いた事があるの。エアは太陽の塔の隣に、この世界で一番高い城を作るんだって」

 えっとつまり、どっちが太陽の塔かは知らないけど、もう片方がボクたちの目指すべきエアの魔王城っていう事か。

 改めて眺める必要もないほど、高い塔だ。雲を突き抜けて頂上が見えないくらいの。

「ねぇアクア。あの憎たらしい鳥女はどこでアタシ達をどこで待ち受けてるのか想像出来る?」

「エアの性格からして、間違いなく頂上だよ」

 ピューっと風が吹き抜けて服と髪を揺らす。

 まさかあの塔、自身の足で登り切らなきゃいけないようになんて、出来ていないよな。

 眺めるだけで過酷だとわかる道のりに、ただ辟易(へきえき)する事しか出来なかった。

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