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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
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443 焦れったい対空戦

 カラリとした空気に、荒れて所々ひび割れている大地。

 見渡す限りに青空と土色の大地しか映らない景色。所々にあるサボテンの緑なんて慰め程度にしかならない。

 ロンギングを出発したボクたちは、二十五名の衛兵と共にソル・トゥーレを目指していた。

 馬車内で五人休む者を決め、ローテーションを組んで進行をする。

 日射しは強く感じるものの、気温はそこまで高くない。風が常に吹いているおかげもで暑さが紛れているのかも知れない。

 だが時折、大きな影が落ちてくるときがある。大半が鳥系魔物の襲撃の合図だったりする。

 見上げれば案の定、大型の猛禽類(もうきんるい)が空襲をかけてきていた。

 赤茶の体色に鋭いかぎ爪とクチバシ。口端からは炎が溢れている。

「敵襲! 口かは炎を吐く手前だ。弓兵!」

 衛兵の一人が声を上げると、弓持ちが三人矢を引き始める。

 連携は悪くない。けど遅い。

「いい加減うざったい害鳥(がいちょう)ね!」

「昼飯は焼き鳥とすっかぁ」

 いち早く反応したエリスとワイズが先陣を切り、矢と風魔法を程よく浴びせる。

 直撃を受けた魔物はバランスを崩して、ヨロヨロと高度を落としてゆく。そこへ衛兵からの追撃が入り、地に落ちた。

「みんなやるね。だんだん対空の反応がよくなってきてるよ」

 軽い拍手を送りながら、賞賛(しょうさん)を贈るアクア。アクアも攻撃手段を持っているはずだけど、戦闘に参加する意欲は見えない。

 (いわ)く、アクアがザコまで相手してしまったら成長する機会を奪ってしまうとの事。仲間として戦うからといって、安易な手助けはしないと宣言された。

 主にみんなの戦闘訓練とタカハシ家との戦闘が、アクアの手を出せる範囲だと。

 仲間として消極的すぎやしないかと思う反面、成長の機会を失う危うさには理解が出来てしまう。

 だから同意はできる。けども一番ツラい戦いをアクアに押し付けてしまうのも心苦しくあった。

「やれやれ、()れったい敵ばかりじゃないかい。これじゃあワシはお荷物だよ」

 両手を腰につけて空を眺めながら溜め息を()くクミン。大剣一本で飛ぶ魔物とやり合うには接近を待つしかないのがツラいところだ。

 手軽な遠距離攻撃を持たないボクだって気持ちは同じだ。

 ボクは今、戦闘面でさえ役に立てずにいる。

 今は遠距離攻撃に特化したワイズとエリス、そして急遽弓を使えるようになった三人の衛兵達が頼りだ。

 衛兵達に弓を扱える者はいなかったけど、アクアの提案により鍛えるようにしたのが発端だった。

 とりあえず全員に弓を触らせ、様になっている三人を急遽エリスが鍛えた。

 今はまだ付け焼き刃かも知れないけど、経験を積めばアテに出来るだろう。

 成長していく姿はどうしてこうも羨ましく、目がくらむほど眩しく、そして悔しく感じてしまうんだろうか。

 答えの出ない悩みを抱えたまま、それでも進行を続けてゆく。

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