表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
440/738

439 風の相棒

 今日はフォーレが昼食を作ってくれた。お野菜がたくさん入った煮込みラーメン。七割ぐらい緑色の鍋をテーブルの中央に置いて、みんなして小皿にわけながら食べるよ。

 熱々だね。ハフハフしながら(すす)るラーメンって格別だよ。

 テーブルを見渡すと、熱さに(もだ)えてる父ちゃんに並んでチェル様が涼しい顔して啜ってる。熱くないのかな。

 グラスなんてかなり冷ましながら食べてるのに。顔が険しいのは熱くて自分のペースで食べられない証拠なんだよね。

 フォーレは(めん)を無視しておかずを先に食べてるし、ヴァリーは唐辛子(とうがらし)とイチゴジャムを入れて食べてる。どこかの村の郷土料理風かな?

 シャインは、ラーメンを食べずにチェル様やウチ、フォーレやヴァリーが食べている姿を眺めてお腹いっぱいな顔してる。のびるよ。

 そして空いているみっつの空席。少なくなってきたな。

 デッドにシェイ、アクアも入れて三人が勇者に敗北した証でもあるんだよね。やっぱり寂しい感じは否めないかな。

 鍋からラーメンをよそっていると、チェル様の赤くて鋭い瞳と目が合った。

「エア。アクアからメッセージが届いたわ。次はアナタみたいよ」

 やっぱりね。そんな予感がした。

「そっか。でもウチ一人だと自信ないんだよね」

「ん、エアは怖くなっちゃったか。だったら逃げるのもありだと思うぜ」

 ウチが弱音っぽい発言をしたら、すかさず父ちゃんが逃げ場を作っちゃった。

 そんなつもりはないって突っぱねたいところなんだけど、父ちゃんの方が失う事を恐れちゃってるから強く言えないな。

「ありがと父ちゃん。でもウチ、戦う事はすっごく楽しみにしてるんだよ。ただアクアが勇者側についちゃったから、ちょっと心細くなっちゃっただけ」

 表情どころか全身から心配だってオーラを出す父ちゃんに、ニコリと不安を打ち明ける。

()()づいたのか、エア」

「だっさー。そんな気概(きがい)なら戦う前に死んじゃった方がいいんじゃないのー」

 グラスが疑問を口にし、ヴァリーがニヤニヤと嘲笑(あざわら)いながら(ののし)ってきた。

 父ちゃんが名前を呼んで(たしな)めると、ヴァリーが渋々はーい、と返事をして麺を啜る。

「エアが不安がるのもムリはないさ。アクアと戦わなければいけない挙げ句に、勇者とか言う無骨な男と相対さなければならないのだ。ミーが傍にいて守ってやらねば、重圧に押し潰されてしまうかもしれない」

 またシャインが自分の世界に酔い()れてわけわからない持論を押し付けてきたよ。場の雰囲気が一気に(しら)けちゃった。

「変なタイミングで口を挟むなシャイン」

 グラスが厳格(げんかく)な口調でシャットアウトしようとする。

「まあまあグラス。ここはシャインの心意気を買ってあげようよ。ちょうどウチ、勇者と戦う為の相棒が欲しいと思ってたところなんだからさ」

 シャインをフォローすると、当人以外から驚きの声が返ってきた。

「エア、まさか」

「シャインと組んで勇者達とアクアを迎え撃とうと思うの。だからシャイン、ウチと手を組んでよね」

 然も当然としたり顔をしてるシャインが(しゃく)だけど、とても癪だけど、手を伸ばして握手を求める。かなりふざけた言動してるけど、いろんな実力持ってる事は知ってるんだから。

「レディに求められて断るなんてありえないね。よかろう。全女性の味方であるミーが特別エアの為に手を組もうではないか」

 謎に不遜(ふそん)すぎる態度に伸ばした手を引きかけちゃったけど、(こら)えてシャインとの握手に応じたよ。

 何はともあれ無事にペアも組めた。待っててねアクア、荒れに荒れた戦いを繰り広げちゃうから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ