表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第7章 大空のエア
439/738

438 風の知らせ

 タカハシ家二階建て一軒家の、一階の屋根に座って青空を眺める。

 青空に浮かぶ白くてまばらな雲が風に乗って運ばれていく。ちょっと速いかな。そわそわしてる感じ。

 ウチの黄色い前髪を揺らす風が、まるで急かすように背中を押してるみたい。

「うん。間違いないね。次はウチの番だ」

 アクアの泣き叫ぶようなシェイの訃報(ふほう)は、タカハシ家全員が一斉に聞いた。

 父ちゃんが崩れないか心配だったけど、近くにチェル様とススキがいてくれたおかげで踏ん張ってくれたみたい。ススキもいつの間にか存在が大きくなっちゃったな。

 ま半分はシェイが事前に手を打ってくれてたのもあるんだろうけどね。

「心配事が杞憂(きゆう)に終わったし、ウチは戦いに備えないとな」

 一世一代(いっせいちだい)の晴れ舞台。勇者を相手にどうやって飛ぼうかな。ブレイブ・ブレイドと遊ぶ準備もしないといけないし、魔物の配備もしなくっちゃ。

「もー今から楽しみで仕方ないよ。けどちょっと問題あるんだよね」

 シェイとの戦いでアクアが本格的に敵に回っちゃったのがキツいところかな。ウチ一人じゃどうしても手に余るんだよね。

 アクアとの全力の戦いも楽しみではあるんだけど、まとめて戦うには不利すぎるかな。

 アレコレ考えを巡らせていると、後ろから窓を開ける音が聞こえた。振り向くと眠そうな顔をしたフォーレが、窓枠にもたれかかっていた。

「あフォーレ。フォーレも日向ぼっこ」

「そぉ。すごくいい天気だもんねぇ。こんな日は光合成に限るよねぇ」

「いや光合成できるのフォーレしかいないからね」

 だらしなくクタぁっとしながら陽を浴びるフォーレ。ウチに劣らず自由だな。

 けど実力は折り紙付きなんだよね。普段は力が抜けるように生きてる分、ギャップが半端じゃないから(あなど)れない。そんな身内が一緒に戦ってくれたら、無敵になれる。

 再び空を眺めると、ウチの考えを肯定するように力強い風が吹いた。

「決めた」

「何をぉ?」

「勇者との戦い。ウチはペアを組んで戦うって」

 二人で戦えばアクア達と互角の戦いが出来るようになる。チームプレイなんて贅沢な事は言わないけど、敵の戦力を分断させるバディがいる。

「へぇ。さすがエアだねぇ。おもしろい事を考えるよぉ」

「でしょ。二人ならきっと、嵐のような激しい戦いを巻き起こせる」

 飛び甲斐のあるスリルな風がビュンビュン吹いちゃうね。勇者達は勿論、アクアだって巻き込んじゃうんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ