433 魂の邂逅
なんと白い空間なのでしょうか。見渡す限り白で覆い尽くされていますね。
「自分は確か自害したはずなのですが、どうして存在しているのでしょうか」
親愛なる奴隷部隊を全て失い、アクアの目の前で役目を最後まで全うした。では今ここにいる自分はなんなのでしょうか。
「ハっ、テメェもこっちに来やがったかシェイ」
後ろから攻撃的であり、懐かしい声で話しかけられる。
「デッド? なぜあなたが」
振り向くと、デッドが人を蔑むような笑みを浮かべていました。自分が殺した相手と再会するなど、どうかしています。
「さぁな。神様ってヤツが成仏するまでの猶予でも与えてくれたんじゃねぇのか」
「だとすると、皮肉な神もいたものですね。よもやデッドと二人きりになろうとは」
この状況がいつまで続くのかは知りませんが、いい機会なのかもしれませんね。なかなかじっくりと話し合う事もしていませんでしたし。
「にしても最期は哀れだったなぁ。僕を葬った技で自殺するなんてよぉ。テメェで食らってみた感想はどうよ」
「死ぬほど痛かったですね」
「いや死んでっかんな」
おもしろ半分な問いをマジメに返したら、呆れ気味にツッコまれてしまいました。
「ところでよぉ、生き残る道を蹴ったのはどうしてだ? 目が潰れてたとはいえ、アクアならシェイを悪いようにしなったろ」
「そういえば潰されてましたね、目。今キッカリ見えていたので忘れてしまっていましたよ」
よくよく考えたら、白い空間を視認していた時点でおかしかったのですね。
「そうですね。意地、でしょうね。元より敗北イコール死を想定していましたので、覆す気にはなれなかったのですよ」
「やっぱテメェも奴隷部隊と一緒だな。頭がそんな思考じゃ、部下達もそりゃ同じ道を辿るわ」
自分が命を捨てる生き方を見せてしまっていたから、倣ってしまったと。だとすると、本当にもったいない事をしてしまいましたね。
「なに今更辛気くせぇ顔してんだっての」
「少し後悔していたところですよ。自分もデッドみたいに、愛情をぶつけていれば愛しい人に生きてもらえたのではとね」
溜め息交じりに反省を口にすると、デッドがうろたえながら顔を赤く染めました。
「なっ、おちょくってんのかテメェ」
「まさか。デッドの手腕に感服させられていただけです。いえむしろ完敗したといっても過言ではありませんね」
「そんなことで勝手に僕を勝者にすんじゃねぇぞボケがぁ!」
ちょっとつつくとおもしろいほど大袈裟な反応が返ってきますね。生前に知っていればもうちょっと楽しめたというのに。
「すまし顔で笑ってんじゃねぇよ。せっかくこの場所の利用方法を教えてやろうと思ってたのによぉ、やめにすんぞ」
「そんな言い方をするなら構って差し上げましょう。是非とも教えていただきたいです」
ふて腐れてしまったデッドはなかなか教えてくれませんでしたが、父上やアクア達の様子を知る術を伝授していただきました。
自分はデッドとお喋りでも交えながら、高みの見物としゃれ込む事を選択しました。




