表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
426/738

425 自動追尾

「来ましたね」

 シェイは不敵(ふてき)に笑うと、躊躇(ためらい)いなく逃げを選択した。今まで散々ボクたちを苦しめてきたスピードで、必殺の脅威(きょうい)から逃れる為に走る。

 ムダだ。ボクのブレイブ・ブレイドは標的を切り裂くまで追尾し続ける。足に自信を持っているようだけど、ソレでは逃げ切れない。

 高速で逃げるシェイを眺めながら、ボクは二発目のブレイブ・ブレイドを準備する。

 仮に何か切り札があったとしても大丈夫。この万全の態勢を突破する(すべ)は、ない。

「さすが噂に違わぬブレイブ・ブレイド。自分の速さについてくるどころか迫ってこようとは。ペースを上げましょう」

 ジリジリと差を詰めるブレイブ・ブレイドに焦ったのか、シェイは影に潜りながらの回避を試みた。

 ブレイブ・ブレイドが床を、壁を、天井を切り裂きながら隠れた標的を追い詰める。

「残念だったね。影に隠れた程度では、ボクのブレイブ・ブレイドを(あざむ)く事は出来ないよ」

 例え壁や床が阻もうとも、目標へ到達するまでブレイブ・ブレイドが消滅する事はない。どんな障害物だろうと止める事は不可能だ。

 そしてブレイブ・ブレイドは迷う事なくシェイを追い詰めている。出来そうな事と言えば、逃げながらボク自身に反撃をするぐらいだろう。

「さぁ、最後の足掻きを見せてみろシェイ。ボクはどんな方法でも対処しきってみせる」

「ではコレでどうですか」

 不意に背後から聞こえた冷たい声。真後ろにいる。振り向くと背中合わせの状態で、微笑みながら横顔を向けている。

 マズい、早く振り返らなくてはっ。

「正面、注意した方がいいですよ。迫ってきてますから」

「はっ? なっ!」

 真後ろにいるシェイに向かって、ボクの正面からブレイブ・ブレイドが襲い来る。

「古典的ですが、コレが自動追尾の弱点です。放っておけばアナタという障害物なんて切り裂いてしまいますよ」

「うっ、うわぁぁぁぁあ。ブレイブ・ブレイドぉぉぉぉおっ!」

 準備しておいた二発目のブレイブ・ブレイドを咄嗟(とっさ)に放って相殺を図る。

 同じ威力を持った必殺技同士のぶつかり合いは、狙い通りに対消滅を起こした。

「はい、ご苦労様でした。おかげで助かりましたよ。コレはお礼です」

 背中を走る複数の熱い線。剣を握る手が開かれ、正面から俯せに倒れ込む。

「ぐっ……がぁっ……」

 背中が熱い。動こうとすると痛みが走る。頭も回らない。回復……ダメだ、集中が途切れっ……

「がっ!」

 頭に鋭い衝撃が走る。グリグリと重い何かを押し付けられる。踏まれてる?

「これで詰みですかね。あらがえるならあらがってもらっても構いませんよ。ぜひ底力を見せて欲しいところです、よっ!」

「ぶっ!」

 頭を蹴られて脳が揺さぶられる。ボクもワイズもクミンも動けない。エリスは動けるだろうけど、一人でシェイに立ち向かうのはムリだ。

 ボクたちは……負けるんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ