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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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422 やり直すために

「そうさね。くだらないお喋りは終わりにするよ」

 クミンが踏み込んだシェイに合わせて大剣を振り下ろした。空を切り、床材を破砕する。

「敵の口車に乗ってんじゃねぇぞジャス。そりゃ気になる事もたくさんあるかもしんねぇけどよぉ、目の前の事を乗り越えなや真否(しんぴ)を確認する事も出来ねぇんだよ!」

 ワイズが石の(つぶて)を放ち、シェイは跳びながら居合いの連続で斬り落とす。

「それにジャス達だって、おとおさんだって、魔王アスモデウスを倒して平和を勝ち取った事は間違っていなかったんだから!」

 ワイズの魔法を対処しているところに、エリスが様々な属性を纏った矢を連射した。

 シェイは焦りの色を浮かべながら、両方を斬り落とす荒技をやってのける。

 そうだ。魔王アスモデウスを倒すところまでは間違っていなかった。仲間達と掴んだ勝利だ。間違いだったなんて誰にも言わせない。

 いつのまにか落としそうになっていた剣を強く握り直し、戦う意志を持ってシェイへ切り込む。

「もしかしたらボクは、平和になってから道を間違えていたのかもしれない。けど間違いと気づけたのなら、いくらでもやり直す事が出来る」

 ボクが突っ込むと、シェイは真正面から切り結んできた。鍔迫(つばぜ)り合いを挟んで間近で睨み合う。

「実に勇者らしい答えです。が、やり直す前に旅が終わらなければよいですね!」

 黒色の眼差しと気迫に負け、押し返されてしまう。

 気を強く持つんだボク。魔王シェイに、やらかしてしまっていたかもしれない過去に、不甲斐なかった自分に、怖じ気づくわけにはいかないんだ。

「ボクは、間違えてしまった道を間違いのまま突き進んだりはしない」

 魔王シェイの実力はなお計り知れない。けれども心を強く持って前に出続けなければ勝機は訪れない。

「立派な心意気ですが、一人で間違いを受け入れる覚悟はあるのですか」

 剣と刀が正面からぶつかり合う激しい応酬(おうしゅう)。押され気味なのはわかる。一人じゃ負けてしまう。

「一人じゃムリかもしれない。けどその時は、仲間が支えてくれるさ」

 ボクとシェイの位置が近すぎるからワイズもエリスも援護が遠慮気味になっていた。けど傍にはクミンがいてくれる。

「人はどんな時だって、一人じゃないんだ!」

 叫びながら放った突きは、華麗に回避されてしまう。ボクに背を向け、外側方向に回りながら懐に潜り込んで刀を抜こうとする。

「そう動くと思ったさ」

「しまっ!」

 シェイの動きに合わせ、クミンが大剣を振り下ろした。ボクを背にしている位置敵に回避は不可能。

 武器で受け止めて防御を選択せざるを得なく、細い刀では受けきれない。

 部屋に鈍い音が響く。

 それでもシェイは、僕を押しのけながらクミンの攻撃を避けた。しかしその両手に握っていた武器は、真っ二つに分かれたのだった。

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