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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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407 雪道の進行

 幌馬車(ほろばしゃ)馭者(ぎょしゃ)席に座りながら私は、戦いの喧噪に耳を傾ける。

 晴れているのは幸運だったね。吹雪いてでもいたら目も当てられなかったもん。

 シャトー・ネージュを出て二時間ぐらいかな。魔物の襲撃が少しずつ見受けられるようになってきたね。

「ジャス達は大変だね。長蛇に並ぶ救出部隊を護衛しながら進軍しないといけないんだもん」

 ジャスが先頭で道を切り開き、ワイズとエリスが横槍を突かれないように別れていて、クミンが殿(しんがり)を務めている。

 借り物の部隊に負傷者がちらほら上がっているらしいけど、まだ死者が出ていないのはさすがだと思うね。

 運がよかったところは、常闇城への道がシッカリと作られている事かな。

 踏み固められていない雪道を進行するとなると時間がかかるし、道を作りながら進むって手間もかかっちゃうからね。

 ジャスは途中、シェイに誘い込まれているんじゃって罠を警戒してた。違うって言っておいたけど。

 この雪道は、シェイの奴隷部隊がシャトー・ネージュに進行する為に作られた。この道があったから、シャトー・ネージュで順調に被害が出ていたんだよね。

「なぁ、あんたも勇者の連れなんだろ。戦わないのかよ」

 隣で馭者を務めている兵士が胡散臭そうに話しかけてきた。一人だけ働いてないから当然の反応だよね。

「私は見学してるだけだからね。ジャスもわかってくれてるんだよ。あ、邪魔だったら歩くぐらいはするよ」

「いや、別に座っててくれてもかまわねぇけどよぉ。酔狂なお嬢さんなこった」

 聞こえた溜め息を苦笑いでやり過ごす。たぶん戦えない一般人って思われてるんだろうな。

 私だって戦ってる方が楽だったりするんだよね。ただ待つだけの退屈な時間って、とても長いんだもん。

 戦いの様子を眺めにいくのもありなんだけど、視線が多すぎるから戦場で戦ってないと悪目立ちしちゃうんだよね。

 出来る事ならエリスの動きをチェックしたいよ。シェイとの戦いについていけるだけの動きが身についてるといいんだけど。

 遠くに見えるは漆黒のお城。晴れているからよく見えるんだけど、不思議とお城の方は暗いんだよね。

 天気が崩れそうとかじゃなくて、あそこだけ夜が近いように暗い。とてもシェイらしい色合いと雰囲気だよ。

 進行状況と目測からして、順調にいけば一時間半ぐらいかな。

 常闇城についたらシェイの討伐隊と人質の救出隊で別れる。

 シェイの所にはジャスたち勇者パーティに私。人質の所にはその他って感じ。

 実力と人員に偏りが生じているけど、シェイを借りものの部隊に任せたら全滅しちゃうからね。実力的に若干不安だけど、人質の方を任せるしかないね。

 ちなみに人質が捕らわれている場所はもう掴んでる……ってより、情報を教えてもらってるんだよね。

 罠を疑いたくなるぐらいの親切さだけど、たぶん強めの魔物以外は用意してないと思う。

 対してシェイの方へ踏み込むルートだけど、情報は完全に真っ黒。たぶんカラクリ屋敷っぽい罠をたくさん仕込んで、遠慮なく相手してくるんだろうな。

 だってシェイにとって本命だもん。

 どんな仕掛けがあるかワクワクする反面、どうしても不安になってしまう。

 大丈夫だよね、シェイ。ちゃんとシナリオ、出来てるよね。

 常闇城の暗さが、心を覆うようだった。

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