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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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405 常闇城の一角で

 イツキに勇者への挑発を行わせてから、敵は着々と戦闘準備を進めているようですね。

 シャトー・ネージュ側にはぜひ優秀な救出班を用意してもらいたいものです。

 生かして帰す事で初めて、勇者と協力した貴族に美談がつきますから。

 それにしても、自分の奴隷メイド部隊は大したものです。少数衛生でありながら二百六いる攫った子達全員を聞き分けよく面倒見ているのですから。

 奴隷諜報部隊も地味ながら的確に必要な情報を入手してくれています。

 時折あのお店のスイーツが最高においしいとか、あの服屋さんがついにどてらを売り出したとか、奴隷部隊の士気を(みなぎ)らせるだけの情報を入れてくれますが。

 まさか奴隷部隊の九割がどてらを購入するとは思いませんでした。自分は勿論好きなのですけれども。

 少し思考が逸れましたね。

 そして奴隷戦闘部隊。奴隷達の全員が最初に求めた部隊であり、ふるいにかけられながらも残った腕利きの精鋭達。特にアキ、イツキ、ウメ、エイジの四人の腕前はズバ抜けています。

 ちょっとした息抜きのつもりが、いつの間にか本格的に手塩をかけて育ててしまった愛しい配下。

 心の奥底でちょっとずつですが確実に大きく育ってしまった存在。捨て駒になんてさせられない。

「きゃー」

「逃げろー。捕まったら殺されちゃうぞー」

「わー」

 考え事をしながら暗い廊下を歩いていると、前方から奇声が聞こえてきます。言葉こそ物騒ですが、悲鳴に危機感は感じられません。

 ドタドタと足音を立てて現れたのは、保護をしている子供達。男女どころか種族もバラバラ。最後尾から追ってくるのは鎧武者姿のリビングアーマー。

 鬼ごっこの鬼をやらせるにしては、雰囲気が出過ぎている気がします。そりゃ捕まったら殺されるなんて単語も出ますよ。

 ただ恐ろしい事に、預かった子供達は三日で常闇城の魔物に慣れてしまったのですよね。

 追いつかれて捕まっても笑い飛ばす始末ですし。

 他に勉強に励む者もいれば料理の腕を上げる者、武器を取って鍛える者などそれぞれの分野に励んでおります。

 勿論師事をしているのはそれぞれの面に特出した奴隷部隊。

 囚われの身で窮屈な思いをしているのに、みな勤勉なのには感心しましたよ。

 これなら自分が勇者に倒れ、常闇城が崩壊した後も近いうちに自立できるでしょう。

 状況に満足いった自分はこの日の夜に、全奴隷部隊を集めて言の葉を伝えました。

「直に勇者との決戦の日が訪れるでしょう。前もって皆に命を与えます。自分亡き後、天命を終えるまで生き残って下さい」

 集まった奴隷部隊の雰囲気が驚きでざわめく。しかし私語を慎み、静かに聞きに徹してくれます。

「特にアキ、イツキ、ウメ、エイジには無理難題を押し付ける事になりますが、勇者達と一戦交えてから逃げ延びなさい。最悪一矢も報いれなくて構いません。ただ生きて、自分を安心させなさい」

 勇者に反感する人間もいると知らしめねばなりません。偶発的に揃った手駒、取られぬように運用せねば。

「御意」

 間髪入れずにアキが返してくれましたが、その返事からは感情の向きを読み取れなかったのでした。

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