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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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404 助け出す為の戦い

 黒いポンチョの少女を逃してしまってからボクたちは、貴族の方々と話をつけた。

 有力な貴族達の協力を仰ぐには時間がかかるようで、救出班を編制するまでとなると最低でも一週間は欲しいと頭を下げられてしまった。

 救出対象が二百人となると馬車の数だけで十五台は欲しいところ。更に護衛が出来る屈強な兵士や冒険者も必要になるし、兵糧(ひょうろう)だって必要になってくる。

 更には救出した人質達を受け入れる孤児院……いやせめて一時的に預かる施設が必要になる。

 神父やシスター、教会なんかが都合よく落ちているわけではないのでかなりの無理難題だろう。

 救出班を編制するよりは猶予があるとはいえ、切羽詰まっているのは言うまでもない。

 人員も、時間も、場所も、資金も足りない。

 ボクの伝手も使えないかと、改めてマリー派貴族の館に足を運んでみた。

 結果は惨憺(さんたん)たるものだった。

 訪れた際には明るい顔をして受け入れてくれたんだけど、ボクたちが要求をする前に業績のズタボロさを涙ながらに言い聞かされた挙げ句、逆に支援を要求されてしまう始末。

 ボクの持っていた全ての伝手が同じ末路を辿っていた。どこもかしこも、笑顔の裏に黒いものを感じてしまった程だ。

 比較してはいけないかもしれないけれど、あの黒さは魔王アスモデウスと対峙したとき以上の悪意を秘めているように感じられてしまった。

 あり得ちゃいけないはずなのに。

「全滅だった……ってより、話を切り出す事さえ出来なかったな」

「ワイズ。ボクが話を切り出せていたら、協力、仰げたと思うかい?」

「逆ギレされた挙げ句に(みにく)(ののし)られるのがオチだったと思うぜ。言わなくて正解だろ」

 やけに淡泊な回答が返ってきた。まるで最初から期待してなかったみたいな。

 けっきょく何一つ手助けできず、貴族達に支援の全てを任せるというなんとも情けない勇者になってしまった。

 せめて、やれる事だけはやらないと。

 クミン達に後れてボクとワイズも防寒着を購入した。ボクは青のダウンジャケットを、ワイズは黒のオーバーマントを。

 身体が鈍らないように鍛える事も忘れない。特に今回は多人数での連携も重要になってくる。ロンギングで借りた衛兵達の働きが救出作戦の運命を分ける事になるだろう。

 数々の命を預かるって戦場に出なければならない。いつまで経っても命の重さには慣れないな。

 けど覚悟は出来ている。大きな戦いを犠牲なく終わらせる事なんて出来ないのだから。

 待っていろ、魔王シェイ。シャトー・ネージュを掻き回し民を混乱させた罪、償ってもらうぞ。

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