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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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403 防寒着を求めて

 シャトー・ネージュに到着したはいいけど、みんな防寒着持ってなかったんだよね。

 私はリュックの奥底に水色のポンチョ、白のコサック帽と青いマフラーを仕込んでたから万全だったよ。

 でも他のみんなはそうじゃなかった。移動中に寒くなってきてからは魔法や着重ねでごまかしてたけど、そろそろ限界みたい。

 だからジャスとワイズが偉い人たちとお話ししている間に、私はエリスとクミンと三人で防寒着を買いに出かけたの。

 ロンギングの衛兵さんたちも各々で防寒着を調達するみたい。お任せして大丈夫だよね。

 街を散策していると、ちらほら服屋さんを発見する。テキトーにお店に入っては動きやすくて温かい服を見繕う。

「おっ、コレなんて野性味があっていいんじゃないかい。かっこいいじゃないかい」

 クミンは早々に、フォックス系魔物の毛皮で出来たコートを見つけ出した。フードに狐耳がついていて、とても温かそう。

 対してエリスはなかなか気に入った服が見つからず、転々とは服屋をハシゴする事となる。

 店員さんにいろんな服を勧められるんだけど、どれも微妙にしっくりこないみたい。

「エリスは優柔不断なのかい。服一つ選ぶのに時間がかかりすぎじゃないかい」

「クミンが早すぎるだけだと思うけど」

「そうかい? シャトー・ネージュを出たらもう着なさそうだろ。だったらこだわる理由もないじゃないかい」

 クミンはバッサリしてるな。思わず笑みが乾いちゃったよ。とは言えただ待ってるだけなのも退屈だし、私もウィンドウショッピングを楽しもうかな。

 買う気はないけどテキトーに服をとって着ているところを想像する。

 この緑のコートはフォーレに似合いそうかな。ベージュのラビットコートなんかはエアが似合うかも……って、コレ。

 不意に視界に入った防寒着を手に取って驚いた。クミンが後ろから覗き見してくる。

「なんだか毛色の違う防寒着じゃないかい。なんかこう、異国っぽいねえ」

「どうしてこんなところに、どてらが売ってるの?」

 手に取ったどてらを正面に見ながら固まっていると、女性店員さんが声をかけてきた。

「そちらの商品、個性的でかわいいですよね。お客様には紺色が似合うと思いますよ。ご試着なさいますか?」

「結構です。けどこのデザインって流行ってるの?」

「知る人ぞ知る商品なんですよ。一部のコアなファンがいるぐらいには売れてますね」

「売れてるんだ」

 イッコクではかなり斬新なデザインのはずなんだけど。

「売り出すきっかけとなったのが黒髪の名も知らぬ少女なんですよ。度々見かけるんですけど、いつもその見ない防寒着を着ていたんです」

「へー。奇抜な娘さんもいたもんだね」

「それで何度か見ている内にオーナーが惚れ込んじゃって、見よう見まねで完成させたのがそちらになります」

 度々街中に出現してたんだね。どてらを着た黒髪の少女が。

「ありがとう。参考にさせてもらうね」

 そういいながら手に持ったどてらを棚に戻す。店員さんが離れてから私は呟いた。

「シェイも意外とエンジョイしてるみたいだね。結構シャトー・ネージュに入り浸ってるのかな」

「な、その少女が魔王シェイなのかい」

 驚くクミンに頷きを返したところで、エリスが黄緑のダッフルコートを購入すると決めたよ。

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