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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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398 寒さという敵

 ヴェルクベルクを出発してから三週間ほど。ボクたちはシャトー・ネージュへと足を踏み入れる。

「ここが雪原の城塞、シャトー・ネージュか。寒さは堪えるけど、大きくていい街じゃないか」

 検問を抜けてシャトー・ネージュに入ると、広い大通りが街の中央まで伸びていた。装飾の施された建物が並んでいるけど、少々活気が少ない気がする。

 曇った空からはチラチラと雪が降っており、街全体を白く染めていた。

「うぅ、寒さが身に堪えるぜ。道中の魔物も厄介なヤツらばっかだったし、早いとこ宿に入って暖まりてぇ」

 ワイズが両手で身体をさすりながら震える。

 道中で雪がチラつき始めた頃から遅いかから魔物が活発になっていった。

 厳つい姿のリビングアーマーに、シャドーに憑依されたアルミラージやグリズリー。さらにはボクたちの姿形を似せた黒い影、ドッペルゲンガーなんかが襲いかかってきた。攻撃手段なんかは真似ていたが、強さまではトレース出来ていなかったのは幸いだった。

 しかし明らかに自然に湧き出た魔物ではない。魔王シェイのテリトリーに入ったのだと肌で感じさせられた。

「ロンギングの精鋭達もかなり消費しているからねえ。早急に身体を休める事は賛成するよ」

 クミンも白い息を吐きながら身体を震えさせる。

 ボクたち勇者パーティには取るに足らない魔物だったけど、精鋭達は苦戦を強いられた。ケガ人は出たものの、死者がゼロだったのは上出来だろう。

 ボクたちの戦いについてくるのだから、少しでも経験を積んで強くなってもらわなければ。守り切れる保証はないのだから。

「満場一致で今日はお休みだね。どうするエリス、特訓もお休みにする」

 一番何もしていないアクアがケロっとエリスへ尋ねる。

「今日ぐらいは休ませて。ただでさえ厳しい特訓が、寒さも相まってより厳しものになってるんだから。いい加減アタシも死んじゃうわよ」

 身を縮こませて震えながらエリスが堪えた。顔色は疲労困憊(ひろうこんぱい)の白。誰よりも早く暖かい場所で休ませなければ危ない。

 ムリもない。ただでさえ寒さという敵に襲われた状態だというのに、魔物に襲われて疲れた状況でアクアの特訓(しごき)を受けていたのだから。

 水溜まりを使った特訓(ソレ)は寒さに拍車をかけてエリスの精神と肉体を(むしば)んだ。

「んー。まだまだ不安だけど、もう限界っぽいもんね。ゆっくり休もっか。精のつくお料理作るね」

 アクアの励ましにエリスは黙って頷いた。

 今日ばかりはボクも休もう。アクアの手料理はおいしいからね。明日から情報収集に動かなければ。既に伝手のある貴族に手紙は送っておいた。訪ねればすぐにでも対応してくれるだろう。

 魔王シェイの侵略具合とそれに伴う被害、脅威性を知らなければ。

 後は、防寒着も要るな。こう寒いとまともに動けない。服が(かさ)んでしまう分動きは悪くなるだろうけど背に腹は代えられない。着込んだ状態でも動けるように特訓も必要だ。

 やる事が多いな。

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