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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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388 アクアによる新たなる特訓

 ジャスから次の目的地をシャトー・ネージュと告げられた。

 魔王シェイから直接ケンカを売られちゃったから選ぶ気がしてたんだけど、個人的にはおとおさんの仇討ちをしたかった。

 モヤモヤしつつ一晩眠る。

 翌日お昼ご飯を食べてからアクアと一緒に、ヴェルクベルクの外れにある森へ向かった。新品のアンクレットを身につけて特訓に励む。

 魔力の練りがよくなった気がする。負担も和らいでるように感じる。些細な感覚だけど、確実に魔力が上がってるってわかる。

 クミンがペトラに作って貰った新アクセサリーの着け心地は良好だわ。おまけにデザインもアタシの要望に応えてくれたし、テンション上がっちゃう。

 水のイメージを形にした装飾が、アタシの右足首を彩る。

 これくらいわかりやすくやれば、アクアだってアタシ達から大事に思われてるってわかるだろうし、命を大切にするようになってくれるよね。

 一面水溜まりが出来た地面を跳ね跳びながら、遠くで鬼のように頬笑んでいるアクアを眺めた。

「余所見するなんて余裕だねエリス。もうちょっとペース上げてみよっか」

「ちょっとやめなさいよ! アタシの事嫌いなのっ!」

 抗議の声を上げるも、水溜まりから飛び出してくる槍に阻まれてしまう。とっさに後方へ跳びながら槍を射貫く。

 今直撃しそうだったんだけど。特訓に醸し出していい殺意じゃないわよ。

「エリスの事は好きだよ。だから実戦で死なないように鍛えての」

 水溜まりの至る所から槍が生えてきては手先足先、そして急所を狙ってくる。

 致命傷は避けてるけど、生傷がシャレになんないっての。

 あーもぉ! 右前方と後方かの二ヶ所から同時に槍突き出してくんじゃないわよ。

「死ぬっ! 死ぬっ! 当たったら死んじゃうからっ!」

「大丈夫だって。当たりそうになったら寸止めする予定だし。それに新しいアンクレットもあるからもしもの時もなんとかなるよ」

 アンクレットには二つの効果が付与されている。一つは単純な魔力の増強。そしてもう一つは即死級のダメージを肩代わりする事。

 勇者パーティの中で一番未熟なアタシが少しでも生き延びられるように配慮された効果。そんなダメージ受けたくないけど、もしもの時を考えると安心感が生まれるのも確かね。けど。

「こんな特訓で肩代わりの効果を使わせるんじゃないわよ! それやったらアンクレット壊れちゃうんだからね!」

 あくまで緊急用の効果で、肩代わりに頼ったような戦い方はするなって念押しされてんだから。

「魔力アップをしてくれる大事なアンクレットだもんね。だからエリスなら、壊れないように特訓を熟してくれるよね」

「にっこり言ってんじゃないわよ! この鬼っ! 悪魔っ! 魔王っ! イカァァァア!」

「褒め言葉として受け取っておくけど、この特訓まだまだ入門編だからね。慣れてきたらもっと槍の本数増やしてスピードアップするつもりだから」

 おぞましい事言わないでよ。もう既にいっぱいいっぱいなんだから。無数にある水溜まりのどこから槍が伸びてくるかわからないだけでツラいのに、速さまで加わったらシャレにならないわ。

 アタシ、懸命に叫んだわよ。なのにアクアってば、コレでもかってほど生傷を増やしてヘトヘトになるまで特訓やめさせてくれなかったわ。

 そりゃ強くなりたいけど、こんな方法じゃ命がいくつあっても足りないって。

 特訓後村に戻ってからジャスに治療してもらった。その時アクアに雷を落としてもらったんだけど、なんで怒られたかわかってない様子だったわ。

 ホント、感覚が狂ってんだから。

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