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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第6章 本影のシェイ
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387 シェイの奴隷部隊

「では行ってきます、父上」

「行ってらっしゃい、シェイ」

 二階建て一軒家タカハシ家の玄関で、自分は父上に頭をポンポンされました。

 温かくてつい、真正面から抱きついてしまいます。心細いのに安心感があるのはなぜでしょうね。

 父上も自分に覆い被さるように、抱きしめ返してくれました。

 少々わがままがすぎましたね。充分です。満たされました。何も喋らぬまま踵を返し、玄関を出ます。

 浴びる日差しが思いのほか優しく感じます。旅立つにはいい日差しです。

「行きましょう。常闇城も随分長い間アキ達に任せてしまっていますしね」

 地下道へと続く道を下り、魔力電車の運転席へ乗り込みシャトー・ネージュを目指します。

「グラスから餞別(せんべつ)も貰ってしまいましたしね。アクアに自慢出来る日が楽しみで仕方ありませんよ」

 アキ達に見せたら羨ましがるでしょうね。しかし今になって考えてみると、自分の主力部隊が奴隷だった人間達とは不思議な因果です。

 彼らと出会う前は直属の魔物を率いた部隊で勇者に挑むつもりだったのですけども。

「四年ほど前にシェトー・ネージュで(さら)った奴隷たち。情けのつもりで鍛え上げたら魔物顔負けの腕前にまで上り詰めてしまいました」

 冒険者のランクで例えるなら、A級ぐらいでしょう。

 無論、全員が全員強くなれたわけじゃありません。しかしそこは適材適所。適性を伸ばしてやれば皆

が、一流の一芸を身につけてくれました。

 ロンギングに侵入させた間諜兼メイドのヒナも失うには惜しい()でした。

「向上心があり、何をやるにも一生懸命で、元気で周りを明るくする()でしたのに」

 奴隷として忠実すぎたが故、逃げるという選択肢を用意させてやれなかった事が悔やまれます。

 ただ、トドメを刺したのがデッドというのは幸運でしたよ。傍にはヴァリーもいたのですから。

「ヴァリーが手を下していたなら余計な苦しみと恐怖を与えられていた事でしょう。対してデッドなら、必要最低限の一撃で終わらせてくれます」

 デッドはどこか、身内に優しいところがありましたからね。

「自分は元より死を覚悟しているのでいいのですが、愛しい奴隷達に同じ運命を辿らせるのは酷ですね」

 奴隷として扱ったものの、命まで身勝手に使い捨てるつもりもありませんし。

「なにより、死んでしまっては惜しい者ばかりですからね」

 活躍の場を用意しつつ、自分以外の全員を生存させるルートを用意しなければ。

 常闇城に戻ってからも考える事はたくさんありそうです。

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