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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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375 隠れ潜む者

 デッド死んじゃったな。

 身体に毒が回っている間に決着したし、私も助からないと思ってたから実感沸かなかったんだよね。

 けど崩れる蠢きの洞窟から脱出して、一晩ぐっすり眠って、朝日を浴びながらヴェルクベルクを一人で散歩していたらじっくりと気持ちが追いついてきた。

「エリスってばガミガミだったな。私がお薬使わなかったら死んじゃってたっていうのに」

 どうしてもそこだけが腑に落ちないんだよね。エリスだって自分の命を大切に出来ていないのに、私が無茶したことだけを怒ってくるんだもん。

 歩いているだけでそこかしこからカンカンと、金属を打つ音が聞こえてくる。鉄を焼く臭いも漂っていて、ドワーフの日常ってこんななんだろうなって感じられる。

 デッドの脅威から解放されたからね。少しずつ日常が戻ってきているんだと思う。

 ただ鉱山はデッドの死と同時に完全崩壊しちゃったから、新しく武器を作ることは望めなくなっちゃった。

 なんせ鉱山を掘るところから始めなきゃいけないからね。補強をして、線路を引いて、鉱床(こうしょう)がある場所を探さなくっちゃいけない。

 元々鉱山だったから鉱床は間違いなくあるんだけど、再び掘れるようになるには長い時間がかかるだろうな。

 救出……って言っていいのかな? ピンク髪のドワーフの少女は眠っている間に母親へと引き渡した。寡黙で無表情だったのが印象的だったかな。

 ジャスはワイズと一緒に村長とのお話しに行ってる。クミンは幼なじみのペトラとゆっくり過ごすって言ってた。

 エリスは一人で村を散策してるんじゃないかな。私と一緒にいたかったみたいだけど、一人になりたいって言ったら素直に引いてくれた。ちょっと意外だった。

 テキトーに歩きながら村を抜け、草木が生え茂る森の奥まで足を進める。舗装(ほそう)なんてされてないから歩きにくいけど、風情があって好きだね。

 足を止めて見渡してみる。うん、人っ子一人いない。

「……たぶん私の影だよね。()ってたら出てきてほしいな、シェイ」

「気づいていましたか。さすがですね、アクア」

 問いかけると返事が返ってきた。私の影からぬっと姿を現すシェイ。

 いくらシェイでもあの場から一瞬で移動するのは不可能だと思う。だから誰かの影に隠れたんだろうなって思ったんだよね。

「気づいてなんていなかったよ。勘と消去法かな。少し話そうよ」

 色々と聞きたいこともあるからね。顔を見て話せる機会も、もう少ない気がするし。

「構いませんが、場所を変えましょう。案内したい場所もあるので」

 言うとシェイが先導し始めた。私よりも細く小さな背中を眺めながら、ついて行くことにした。

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