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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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374 魂の休憩所

 (しれ)ぇ。どこもかしこも真っ白だ。空も、前後左右も、地面さえも。

 けど間違いなく床がある。背中をつけて寝っ転がってっから間違いねぇ。

「んで、ここどこだっての?」

 (らち)があかねぇから立ち上がってみたものの、行く当てもねぇから立ち止まるばかりだ。

「僕は確かに死んだよな。シェイに後ろから刺された挙げ句、盛大なトドメを食らって」

 家族の中の誰かは潜んでっと思ってたが、まさかシェイだったとはな。って事はクチナシの香水はシェイの私物か?

「そもそもどっから見てやがったんだか」

 顔を合わせなくてよくなったのはある意味幸運かも知んねぇ。ぜってぇアレコレ無言で問い詰めてきやがるかんな。

 にしても死後に猶予なん与えてんじゃねぇっての。ご都合主義も大概にしやがれってんだ。くたばったんだから、何も考なくていいよう黙らせろっての。

「なんにもねぇ退屈な場所だしよぉ。なんか暇つぶしでもねぇのか?」

 そういや僕が死んだ後はどうなったんだ?

 疑問に思った瞬間、脳裏に映像が浮かんで来やがった。僕の根城を勇者たちが全員脱出している。アイポも含めて。

「けっ、アクアは仕留めきれなかったか。まぁ心底憎んでたわけじゃねぇからいいけどな」

 ひょっとしてアクアも死んでたら僕と同じ場所に来てたのか?

「だとすっと、当分は一人で居てぇわ。次勇者と戦うのはたぶんシェイだかんな」

 頭に跳び込んできた情報に、ケンカを吹っ掛けるシェイがいたんだよなぁ。

「つぅかアイポも僕が死んだ程度でギャンギャン泣いてんじゃねぇっての。生き埋めになっちまうとこだったんだぞバカが」

 結局、最期までよくわかんねぇやつだったわ。僕の真の姿って、かなり恐ろしいはずなのにな。

「間違っても僕の後なん追って死ぬんじゃねぇぞ。って、どんだけ僕は思い上がってんだか。アイポも命賭けるまで想っちゃいねぇはずだかんな」

 けど楽しかったぜ恋愛ごっこ。この先の未来ぐらいは祈ってやっていいぐらいにな。

 ハナから早死にする予定だった。本気の恋愛なん、やるだけツラいだろぉ。

「キヒヒっ。幸せだったんだな、僕は」

 もっとあっさり死ねると思ってたのによぉ、どうしてくれんだよ。未練たらたらじゃねぇか。

「なぁジジぃ! 僕は役目を終えたぞぉ! テメェも時間が少ねぇんだからよぉ、もっとチェルと恋愛ごっこしとけよなぁ!」

 まっ、聞こえねぇだろぉけどな。

「激戦を終えたんだ。しばらくはのんびり観戦でもさせてもらうぜ」

 どうせこっから消え去る方法も、いつ消えるかもわかんねぇかんな。

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