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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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370 放たれた刃

 炎を纏った矢が、デッドの振り回していたクモの糸を焼き切った。岩があさっての方向へ落下する。

「なっ?」

 ボクもデッドも、同じ方向を見つめる。息を荒げた満身創痍のエリスが、空瓶を片手に弓を引いていた。

「ボクの毒を食らったはずだろ。かなり強力なヤツだ。なのになんでテメェが動けんだ?」

「そこに転がってるバカのせいよっ!」

 エリスの足下には、アクアが倒れて痙攣してる。

「お手製のエリクサーなんて持ってるんだったらなんで自分に使わないのよっ! アタシになんて使ってる余裕ないじゃないのよっ! もっと自分の命を大切にしなさいよバカっ!」

 アクア宛ての罵倒を乗せて、デッドを睨み付けるエリス。

「お手製のエリクサー? アクアがそんな上等な(もん)、持ってるはずが……フォーレかっ!」

 エリスの言葉を疑わしげに斬り捨てようとしたデッドだったが、何かに気づいて声を荒げた。

 エリスの不意の一撃が、アクアが死に物狂いで繋げた命が、勇者の刃を完成させる。

「しまったっ!」

 溜まった。

「今まで虫のように踏み潰してきた人々の命、報いの瞬間(とき)だっ! ブレイブ・ブレイド!」

 満を持して放った横一線の刃。怒りを乗せた一撃を、デッドへ向けて解き放つ。

「けっ! 上等だオラァ! アクアの分際で受け止められた必殺技なんざ、僕が余裕で防いでやらぁ!」

 無数の毒グモが跳び込んできてデッドの盾となる。

「ムダだ、その程度じゃブレイブ・ブレイドは遮れない」

 毒グモの塊をいくら切り裂いたところで、ブレイブ・ブレイドは衰えたりしない。

「まだだっ! ストリングプレイスパイダーベイビー!」

 複雑な形のクモの巣を何重にも展開される。がっ、そんなのは関係ない。クモの巣はただ切れるだけだ。例え粘着性に優れていたとしても、絡め取られることはない。

「ぐっ……うおぉぉぉぉお!」

 近くの岩の塊にクモ糸を伸ばしては、ブレイブ・ブレイドに向かって投げ飛ばしてくる。

 どんなの大きな岩だろうが、どんな方向から叩きつけられようが、ブレイブ・ブレイドは対象を切り裂くまで止まらない。例え()けても自動で追尾する。

「デッド、ボクたちの勝ちだ」

「ざけんなっ! 止まれ! 止まれっ! 止まれぇぇぇぇえっ!」

 必死に防御する奮闘虚しく、ブレイブ・ブレイドは正面からデッドに直撃をした。

「がっ……あぁ……」

 天井に張り付いていたデッドが痛みに耐えかねて地面へと墜ちる。

「デッドっ!」

 少女の悲痛な叫びが、蠢きの洞窟に響き渡った。

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