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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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368 絡め取られるは

 倒れて動かないアクア。冷静さを欠いて無謀な反撃に転じるエリス。

 ダメだ、ボクもワイズもクミンも迫り来る毒グモの対処に手一杯で、エリスの暴走を止められない。

 せめてもう少し毒グモが減れば、ブレイブ・ブレイドを放てるのに。

「アクアがこの戦いで何したってのよ! 助言すら出してなかったじゃない! それなのにどうしてアクアを毒牙にかけたのよ!」

 岩場の上を飛び跳ねながら放つ複数の矢は、新たに張られたクモの巣に遮られてしまう。

「どうせ戦う前にアドバイスぐらいはしてたんだろ。僕にもお前らにも、情報筒抜けだったんじゃねぇか? 生かしとく方が危険だろうが」

 思うところは確かにあった。危機感も確かに感じていた。だが、殺すほどの重罪でもなければ、悪意があったわけじゃない。

「そんなのっ! 殺す理由にもなんないわよっ!」

 張られたクモの巣に矢が突き刺さると、パリパリに凍てつきだした。氷属性を付与した矢か。

「あん?」

 強度を失ったクモの巣は二射目の矢で砕け散り、役割を失う。

「このまま射貫いてやるっ! アクアの受けたショックと悔しさ、まとめてアンタに思い知らせてやるっ!」

 無防備なっているデッドへ、エリスの放った矢が感情を込めて迫る。

 デッドは身体を捻りながら躱し、果てには矢を手で掴み取ろうとする。

「んなのろまな矢で僕を射貫くなんて……ちっ」

 |煽“あお”ろうとしたデッドだったが、矢を掴んだ瞬間に舌打ちする。握り込んだはずの矢を反射的に地面へ落とした。

「感電した? 今なら電撃で痺れて動けないでしょ。けどアクアはもっと苦しんで動けないの。少しでも動けない恐怖を思い知れ!」

 迫る毒グモから逃げるように飛び跳ねながら、追撃の矢を放つエリス。

「随分とアクアの肩を持つじゃねぇかよ。ちょっと前まで敵同士だったはずだろうが」

 デッドは悪態をつきながら跳躍することで回避する。天井付近に巨大なクモの巣を張り、逆さになって見下ろしてきた。

「ほっとけないのよっ! やることなすこと危なっかしくて、今だって危険で、自分の命を蔑ろにして、もっと人生楽しいんだって、アタシが教えてやんなきゃいけないんだからっ!」

 叫びながら炎を纏った矢を放つ。デッドが壁に新たなクモの巣を張って回避すると、天井付近のクモの巣が燃え落ちる。

「考えがしっちゃかめっちゃかじゃねぇか。そんなにアクアに色々教えてぇならよぉ、先に地獄へ逝って道案内してやったらどうだ」

 デッドがクモ糸をエリスに放つ。跳んで回避した先には、アクアが倒れ込んでいる。

「冗談っ! むしろ地獄から引きずり戻してやるわっ!」

 エリスは着地地点に群がる毒グモを射貫きながら、次の足場を探していた。

「いいことを教えてやる。その毒グモな、噛んで毒を回すだけが芸じゃないんだぜ。クモの巣だって張れんだ」

 毒グモがエリスの着地する地面に、クモの巣を張る。

「ちょっ!」

 とっさの出来事にエリスは、足からクモの巣に着地してしまった。

「エリスっ!」

「捕らえたぜ」

「くっ、こんなのすぐに焼き切って……何? 力が、抜けて……」

 フラついて弓を落とし、手を地面に付いて座り込むエリス。

「僕らのクモの巣に捕らわれた獲物はなぁ、力が抜けるデバフがかかんだよ」

「うっ……あっ……」

「逃げろエリスっ! エリスぅっ!」

 迫り来る毒グモに為す術なく、エリスは噛まれて倒れた。痙攣する、アクアのすぐ近くでだった。

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