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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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364 湧き上がる殺意

「オモチャが壊れたら遊べなくなっちまうよなぁ。コレ、どういう事かわかるかぁ?」

 狂気の笑みに怒りを滲ませながら問いかけてくるデッド。禍々しさに気圧され、ボクたちは反応できずにいた。

「遊びが終わんだよ。こっからはマジの殺し合いだぜぇ!」

 赤い瞳が(きら)めき、デッドの身体が紫に輝く。

 そうだ。ロンギングでの悲劇の奇襲でも見たことあったじゃないか。

 鋭く長い八本の足が伸びるクモのように丸くデカい下半身に、ひょろ長い人間の上半身が生えた姿。ただし体色は紫に染まっている。

「ひっ!」

 生気を失っていた囚われのドワーフたちから、引き攣った悲鳴が漏れる。

 その人間離れした容姿も然る事ながら、毒々しく強大な存在感には気を飲まれそうになる。

「まずは挨拶がわりに死んでもらおうか」

 紫の手のひらを上に向け、クモの糸を放つ。ゴツゴツと隆起した天井に糸を絡ませると、巨大な身体を引き上げるように跳んで、鋭い多脚で天井に着地する。

 逆さまに立ち、互いに見上げあう構図が生まれる。

 デッドはクモの糸を近くの岩へ放って絡めると、力任せに引き抜いて落としてきた。

 巨大な岩の固まりが、デッドを中心に弧を描きながら振ってくる。

 剣で相殺なんてとてもムリだ。質量が違いすぎる。()けるというより、その場から逃げることを選択する。

「うおぉぉぉお!」

 岩とすれ違っただけで暴力的な風圧に身体を押される。

 狙いを外れた岩は弧を描きながら上昇し、天井へと突き刺さった。

「なっ、落ちて……こない」

 どんな勢いで叩きつければ、岩が天井に刺さると言うんだ。クモの糸と岩だけで大自然の強大なハンマーを即席で作り上げるなんて。

 挨拶代わりの必殺技なんて冗談にもほどがある。

「挨拶したのに黙りこくってんじゃねぇよ」

 デッドは天井から足を離し、落下しながら天井にクモ糸を絡ませる。ピンと張ったクモ糸を軸に、デッドが弧を描きながらボクに迫り来る。

 広げられた八本の足。咄嗟に剣を振るも、右上二本の足で剣を弾かれ、右下二本の足で身体を()っ裂かれた。

「ジャス!」

「ぐっ、おぉ……ヒールっ」

 熱い。膝をつき、吹き出る血を手で押さえながら回復魔法で傷口を塞ぎにかかる。

 見上げると、デッドは再び天井からボクらを見上げていた。

(わり)ぃ悪ぃ。コレ殺し合いになんねぇわ。ただの一方的な殺戮(さつりく)だ」

 舐め腐った態度だというのに妙な冷たさを纏っている。フレイルを振り回していたときにあった愉楽(ゆらく)が、今は完全に殺意に変わっている。

「もう長く生きれると思うなよ」

 デッドはもう、言葉だけでトドメを刺しに来ていた。

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