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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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361 岩砕

「クモの巣張り巡らせた程度で調子のってんっじゃないわよ!」

 エリスが突起している岩の上へ跳び乗り、高所からの矢を連射する。

 デッドは矢を叩き落としつつ、近場の岩をフレイルで砕いて石(つぶて)を散らしてきた。

 エリスは表情に驚きを灯したものの、次の足場に跳び移りながら反撃の矢を放つ。

「力任せの遠距離攻撃なんて当たらないわよ」

「単発じゃ当たんねぇかもだけどよぉ、そのうち当たんじゃぁねぇのかぁ」

 岩砕(がんさい)の石礫で矢を飲み込みながら反撃してくる。

 弓矢と岩砕の応酬。一見互角の攻防が続いているように見えたが、エリスは徐々に張り巡らされたクモの巣で退路を限定されていた。

「そろそろ捕まんじゃねぇか。選びなぁ、岩塊かクモの巣かよぉ!」

 轟音をあげながら岩を破壊して石の礫を飛ばすデッド。

 エリスは躊躇(ためらい)いなくクモの巣が張り巡らされている方へ跳び、隙間をすり抜けながら反撃の矢を放つ。

 上手い。エリスの身のこなしがこうまで上達していたなんて。

「やるねエリス。特訓の成果が出てるよ」

 アクアは足を揺らしながら、上機嫌に微笑んだ。水溜まりの特訓は、デッド戦を想定していたのか。

「なっ、器用なことしてんじゃねぇよクソがっ!」

 この反撃は想定外だったのか、デッドは怒り散らしながらフレイルで矢を叩き落とす。

「ちょっとエリスを構い過ぎなんじゃないかい」

 矢の対処をしている隙を突いたクミン。デッドの背後から重たい一撃を振り下ろす。

「ちっ、クソアマがぁ!」

 デッドは前へ飛び込むことで躱しつつ、追撃を許さないようクモの巣でクミンとの間を遮断した。

 今デッドは体勢を崩している。クミンの攻撃に対処しきった安心感から緩みもある。ボクの回復も済んだ。好機。

「デッドは遊んでいるつもりかも知れないけどね、こっちは遊びじゃないんだ。遊んでいる内に終わらせてもらう」

 瞬時に肉薄するとデッドの顔が驚愕に歪む。実力を出させる前に、呆気なく決める。

「舐めんなっ!」

 反射的にフレイルを振り回して、牽制(けんせい)してきた。やり過ごす為に動きを止めたのだが、一瞬の硬直をしている後方に跳んで臨戦態勢を整えさせてしまう。

 跳んだ先はエリスから見て岩の影。瞬間的な矢による援護も期待でない。

「ボムズ!」

「なっ!」

 デッドが影に利用していた岩にワイズの爆発魔法が炸裂し、石礫を浴びせる。土砂に埋もれ、戦場に静けさが生まれた。

「さっきから散々遊んでくれたじゃねぇか。テメェも石遊びに参加しやがれってんだ」

 土埃で汚れたワイズが、杖を構えながら言い放つ。ボロボロな様子からボクは、咄嗟に回復魔法を飛ばした。

「ヒール。まだ強がってくれよ、ワイズ」

「当然だ。勇者のチームプレイってヤツをイキってるガキに見せつけてやんなきゃな」

「まだ生きてるんだろ。ワシらに死んだフリなんて効きゃしないよ」

 隙なく土砂を睨み付けていると、何事もなかったかのようにデッドが起き上がってきた。ケガひとつ負っていない。

「随分な言い草じゃねぇか。ボクだってここ数日特訓したんだ。成果ってヤツを見せつけてやんぜ」

 デッドはフレイルを構え直しながら不適に笑みを浮かべた。

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