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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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360 破壊と設置

「ウィンドカッター」

 近付くデッドにワイズが風魔法を、エリスが連続で矢を放つ。

 デッドは怯むことなく風を避け、フレイルで矢を叩き落としながら接近を続けた。獲物を見定めた赤い目がボクを捉えて放さない。

 振りが速い。狙いも正確だ。しかも打撃武器。下手に剣で合わせると武器が欠損する恐れがある。先手を譲って空振らせたところが狙いだ。

 充分に接近したデッドは両手でフレイルを握り、袈裟に殴りかかってくる。

 ギリギリ間合いの外に退()き、空を切った衝撃を軌道上に受ける。

 避けてなお微量のダメージを与えてくるとはね、けど代わりに直撃を返せさせてもらう。

 無防備に見せた背に剣を振り落とす。がデッドは空振った勢いを乗せて回転し、連撃を仕掛けてきた。

 振っていた剣の腹にフレイルが叩きつけられ、手から弾かれそうになる。

「なっ……」

「おぉ、今ので剣を落とさねぇかよ。だが隙だらけだぜ!」

 獰猛(どうもう)な笑みを浮かべながら、横っ腹にフレイルの横振りを浴びせられる。重い衝撃が腹の中で響き、思いっきり吹き飛ばされる。

「がっ!」

 一撃でこの威力。とっさに跳んでいなければあばらが持っていかれていた。

「あの体勢で攻撃方向に跳ぶかよ。伊達に勇者は名乗ってねぇってか」

「ウィンドカッター」

 ボクに注意を払っている隙を突いて、ワイズが風魔法をデッドの真上に放つ。

「なんだぁ、見当違いの方に魔法が飛んでっぞ」

 フレイルを肩にトントン叩きながら、呆然とワイズを眺めながら挑発する。

「言ってろボケが。今に後悔すっぜ」

 ワイズがニヤリと笑うと、デッドの頭上にぶら下がっていた鋭い岩が落下する。

 地形の使い方が上手い。アレならデッドだって一溜まりもない。

「ケっ、芸がしょっぺぇんだよ!」

 舌打ち混じりにフレイルを振り抜くと、落下してきた岩を粉々に砕いた。

「なっ、うおぉぉ!」

 更に砕かれた無数の岩塊は、勢いよくワイズの元へ飛来する。手でクロスガードして防ごうとするのも虚しく、土煙の中へ姿を消していく。

「ワイズっ!」

「キヒヒヒヒっ。たわいねぇ魔法使いだなぁおい」

 腹を抱えて笑い出すデッド。の背後に大剣を構えるクミンの姿。

 油断しきっている隙を完全に捉えた。あの状況じゃデッドは避けられない。行けクミン。

 負傷した腹に回復魔法をかけつつ、クミンの動向を見守る。けどクミンは一向に動かないどころか顔を顰めた。

「チっ、ここからじゃ届かないじゃないかい」

 クミンがグチると、デッドは後ろを振り向いた。

「あーあ。攻撃してくるような間抜けだったら楽だったのによぉ、気づきやがったか」

 デッドとクミンの間に、いつの間にかクモの巣が張られていた。迂闊に攻撃していたら絡め取られていただろう。

 あの一ヶ所だけじゃない。よく見たら所々にクモの巣が張られている。デコボコな地形の合間や床にさえも。

 ゴリ押しと(から)め手の波状攻撃。コレがデッドの戦闘スタイルか。

「怖じ気づいたかぁ? まだ戦いは始まったばかりだぜぇ」

 デッドが見下すような笑みを浮かべていた。

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