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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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358 強行突破

 ジャスが強引な手段を宣言してからの行動は物凄く早かった。

 湧き出てくる魔物の群れの前面だけを斬り倒しながら駆け抜ける。後方からウジャウジャと挟撃を仕掛けてくる魔物なんてなんのその、追いつかれるよりも速くひたすら前へ。

 RPGでRTAやってる勇者達のガン逃げ戦法って、実際にやったらこんな感じになるのかな。

 避けられない前面の戦闘だけ対処して、後方から怒濤のように押し寄せてくる魔物の波からひたすらに逃げる。

 圧が半端じゃないね。追いつかれたら()み殺されちゃうよ。常に一つの過ちでガメオベラが待っている緊迫感。ソレを実践の一回勝負で体験しちゃうなんて思わなかったよ。

 しかも必要最低限しか倒さないから、私にまで撃ち漏らしが襲いかかってくるんだよね。

 おかげでトライデントをしまう余裕がないよ。

「って、もしかしてジャス。私を戦闘に巻き込む為にこんな戦法取ってる?」

 みんなには見学するだけって伝えてあるし、戦力の期待はされないように振る舞ってきたつもりなんだけど。こうなっちゃうと手を出さざるを得なくなっちゃう。

「結果的にそうなったけどたまたまだよ。こんな数の魔物をいちいち相手していたら陽が暮れてしまう」

「なんならアクアも本格的に付き合ってくれていいのよ。歓迎してあげるわ」

「走りながら矢を射るのはキツいだろうけどエリス、そこは必死に食らいついてね」

「薄情者ー」

 文句を言いながら、的確に魔物を射貫いては活路を広げ、走る。

 命中率、威力、スタミナ、どれを取って文句なし。やっぱりエリスは見ていて飽きないね。

「ワシはそろそろ熱烈な追っかけが気になってきたよ」

「頃合いだわなぁ。退路を塞ぐがいいよなジャス」

「ワイズ頼んだ」

 ワイズは振り返って、後方の天井に杖を構える。

「ボムズ」

「って、キャー!」

 天井付近に爆発の連鎖が起こって部分的に崩落、追ってくる魔物の群れとの間に、土砂の壁が完成した。

 ちょっと土埃が喉に痛いかな。

 いきなりこんなことやられたらエリスだって悲鳴を上げるよね。下手すると一緒に土砂の下敷きになってた可能性だってあるもん。

「よし、ここら辺でいったん休憩しよう。ワイズ、換気も頼む」

「人使いの荒い勇者様だ事で」

 ジャスが前面に群れていた魔物を片付け、ワイズが渋々といった感じで風魔法を発動させて空気を手早く入れ替える。

 クミンは座り込むと、水を呷って息を整えた。

「ふぅ。アンタらも休みな。かなり奥まで強行したからね、もう最奥は近いよ」

 見上げながら促すクミンに習い、私とエリスも座り込んだ。エリスが容器に入った水で喉を潤す。

 私も走ったせいで身体が火照っていたから、大量の水を魔法で出してを頭から被さった。

 隣で座っていたエリスが水飛沫を浴びちゃった。物凄く怒られた。

 なんか勢いとほのぼので奥まで来ちゃったな。

 デッドとの戦いが見物になるといいんだけど。蠢きの洞窟の奥を眺めながら思ってしまった。

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