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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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357 傍観者

 いやー、デッドも盛大な歓迎をするね。

 ビッグバットにゴブリン。続いてマタンゴにコボルト、オオムカデと群れる魔物のオンパレード。

 けどちょっと数任せすぎで雑な感じ。

 ジャス達の疲労はちょっとずつ溜まっているけど、致命傷にはまだまだ届きそうにない。

 ゴリ押しはわかりやすく強力な方法だけれど、芸がないんだよね。

 要所要所で中ボス(クラス)の魔物を配置すれば多少見栄えも変わりそうなんだけれど。

 ジャス達は群れる魔物との戦いに適応し始めてる。こんな配置じゃあっという間にデッドの元に辿り着いちゃうぞ。

「次の群れのお出ましかい」

「またゴブリンかよ。ホブゴブリンもちらほら混じってるみてぇだが今更……ちったぁ面倒になったじゃねぇか」

「ワイズはホブゴブリン如きで怖じ気づいたのかしら?」

「挟まれてっから油断すんなエリス!」

 勇者パーティの隊列を崩しにかかる挟撃。洞窟の構造を生かした小細工なんだろうけど、奇策としてはやっぱり弱いかな。

「クミンは後方を、ボクが前面を受け止める。エリスとワイズはホブゴブリンを中心に仕留めてくれ」

 ジャスの号令に瞬く間に反応するチーム。

 多少の驚きはあっただろうけど、致命的な隙は生まれなかった。即座に対応され、瞬く間の殲滅(せんめつ)が開始される。

「毎回群れるのが一種類っていうのが惜しいんだよね。もっとごちゃ混ぜだったら対応も困りそうなのに」

 戦略が残念でならないよデッド。しかもこの魔物、私まで襲おうとするし。

 容赦なく襲いかかってくるゴブリンを軽くいなしながら、錬成したトライデントを片手に斬り捨てる。

「特に勇者の力になるつもりはないけど、私に襲いかかってくるなら容赦しないよ」

 松明で片手が塞がっているとはいえ、ゴブリン程度じゃね。

 ターゲットもわからない頭脳に呆れつつ、忠告を聞かないゴブリンを斬り続ける。

 やがてこの群れも呆気なく殲滅し、束の間の静寂が訪れる。

「いい加減、松明の明かりじゃ心許なくなってきたね」

「ワイズ、明かりを頼むよ」

「あいよ。アクア、探検ごっこは終わりだ。フロアライト」

 ワイズが光の魔法を唱えると、周囲が一気に明るくなった。心細い松明の炎はなんだったんだろう。

「ちょっとみんな。こんな便利な魔法があるならどうして最初から使わなかったのよ!」

 私の理不尽を代弁するように、エリスが両腰に手をつけながら問い詰める。

「アンタ達があまりにも探検を楽しんでたからね。ワシらも童心に戻ってみたくなったのさ」

「なかなかの緊張感だったろ。遊べる内に遊んどこうと思ってな」

 クミンとワイズのしたり顔で、私は楽しんでいたことを自覚する。松明の炎は確かにドキドキしたよ。

「アタシは洞窟探検を楽しむほど子供じゃないんだからね」

 エリスは納得いかなかったみたいで、子供のようにむくれちゃった。素直じゃないな。

「遊んでいたことは謝るよ。そろそろ松明を持つのも邪魔になってきそうだしね」

 申し訳なさそうな苦笑で謝るジャス。

「けどもう遊びは止めよう。いちいち殲滅してたらキリがない。活路だけ開いて駆け抜けるよ」

 水色の瞳に真剣さをキラめかせ、号令を出す。

 じれったさをかき消すように、前へ逃げる戦術をジャスは取った。

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