354 問い
「なぁババア。ババアはジジイの事をどう思ってたんだ? チェルに命令されてなし崩し的にジジイを襲ったんだろ。んでもって僕を産んで、育ててよぉ。面倒が増えただけじゃなかったか? ババアがジジイを好む要素なんてどこにもねぇじゃねぇか。二年前に聞いたら答えてくれたのか? いや、二年前の僕じゃそもそも、そんな疑問にすら辿り着けなかったか」
「んっ……んんっ。どうしたの、デッド?」
「んだよアイポ、起こしちまったか?」
「ちょっと、寂しそうだったから。ねぇ、デッドのババアはジジイと一緒にいて楽しそう?」
「どうだったかなぁ。ババアがジジイからかって面白がってはいたけれども」
「だったら好きなんじゃない。一緒にいて嫌な雰囲気じゃなかったらきっと大丈夫だよ」
「んな単純なもんじゃねぇだろぉ」
「そうかな? そういう事って案外、単純だったりするかもだよ。わたしはデッドといて楽しいもん」
「急に抱きついてくんなバカ」
「バカだもーん。だからありったけひっついてやるー。うりうりー」
「ケっ。ババア然りアイポ然り、僕の周りは物好きばっかで理解に苦しむぜ」
「そう言いつつわたしの頭、撫でてるよ」
「撫でやすい頭が傍にあるのが悪ぃんだよ」
「もっと撫でてくれてもいいの。気兼ねなくじゃれ合えるこの瞬間が、きっとすっごく貴重なことだから」
「妙に達観してんじゃねぇか」
「だって、互いに冷めちゃったり、気を遣い過ぎちゃったりしたらつまらないもん」
「冷める、ねぇ。ババアとジジイは物理的な距離が空いてたけど、冷めるほど長い時間触れ合えてたわけじゃねぇかんな」
「もったいないよね。だから目一杯触れ合おう。ババアさんがしてこなかった分まで、うんといっぱい。デッドだって、楽しいの続けたいでしょ。ふぁ~あ」
「あくび出てんじゃねぇか。疲れてんだからムリせず寝ろっての」
「うん。おやすみデッド。たくさん一緒に……」
「……ったく、喋りながら落ちんじゃねぇよ。なぁ……ババアも僕とおんなじ気持ちを
抱いてたのか? ジジイを相手によぉ。だったら、幸せだったんだろぉなぁ……考えててもしょうがねぇか。もう寝ちまおう」
「ん~……デッドぉ……大好きだよぉ……むにゃ」
「バカな寝言を言ってんじゃねぇよバーカ」
……




