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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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352 交わす約束

 呆気なく巨グモを退けたね。ワシは大剣を持ってなかったから戦力になれなかったけど、敵が単体な挙げ句弱めで助かったよ。

 ただ、ジャスとアクアの空気が不穏なのがねぇ。

 一触即発になったかと思えば急に和らいだりと、いつ仲違いが始まるんじゃないかってハラハラしたさ。

 まっ、アクアの方が意地でも戦わなかっただろうけどさ。

 危機が去った戦闘の後処理を村のドワーフたちに任せて、ワシらは宿に戻る。

「あっ、お帰りクミン。ジャスさん達も。宿に誰もいなかったから驚いたよ」

 宿の手前ではペトラが大きな包みを抱えて待っていた。ワシらを見つけて、嬉しそうにしながら駆け寄ってくる。

「どうしたんだいペトラ。宿まで出向いて」

「大剣の修繕が終わったからね。早めに渡した方がいいと思って」

 抱えていた包みを受け取り、解く。傷ひとつない大剣は夕日を反射し赤く輝く。

「相変わらず大した技量だねぇ。コレで存分に暴れられるよ」

 愛剣が手元にある。それだけで安心感が変わってくるよ。

「今回はかなり痛んでたから大変だったよ。一体どんな振り回し方をしたのさ」

大剣(コイツ)一本で槍の雨を捌いたからね。痛みもするさ」

「槍の雨なんて大袈裟だな。けど激しい攻撃だったんだね。さすがクミンだよ」

 驚きながら褒めてくるのはいいんだけどね。まさか本当に槍の雨が降っただなんて、普通は思わないだろうし。ワシもよく生き延びたと褒めてやりたいよ。

 無数の槍に囲まれた時の危機感は半端じゃなかったからね。今にして思うと、アレもアクアに突破出来るギリギリを調整されてたんだろうけども。

 アクアの方へ振り向くと、微笑んだまま首を傾げられた。

 あの槍雨(そうう)が捌ききれるように調整されてたとなると、ワシらはかなり過大評価を受けてたことになるんじゃないかい。

 ひとつ間違ってたらワシら終わってたよ。

 終わった事とはいえ、恨みがましいジト目を向けてしまうよ。

 アクアは首を傾げるだけだけれどもね。

「クミン達は明日戦いに出るんだよね」

「そうだよ。激しい戦いになるだろうね」

 敵はアクア(クラス)魔王(バケモノ)。武器の破損どころか命だって落としかねない戦いだよ。

「帰ってきたらまた武器を見てあげるよ。今度はクミンだけじゃなくて皆さんの分も。ソレとよかったら、鉱石を少し探し出してくれると嬉しいかな」

「ペトラってば欲張りだねぇ。まっ、鉱石は余裕があったら考えてあげるよ」

 ナチュラルに全員に帰ってこいって言ってんじゃないよ。その注文はけっこう難しいんだからね。

「ありがとうクミン。みなさんも、クミンをよろしくお願いします」

 ペトラが頭を下げると、なぜかワイズが横柄(おうへい)に振る舞おうとした。喋らせる前に肘打ちで黙らせ、ジャスが鷹揚(おうよう)に対応する。

 やれやれ、ワシに負けられない理由が増えちまったよ。

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