344 無情の侵略
明日はいよいよヴェルクベルクに勇者ご一行が到着する。
希望に満ちたすんばらしぃ日だぜ。そんな日になんの歓迎もないんじゃぁつまらねぇよなぁ。
僕は一軒家の屋根から慌てふためくドワーフ共を眺めながらほくそ笑む。
「キヒヒっ、鉱山から魔物の群れが押し寄せてきて大変だなぁ。戦力全部注ぎ込まざるを得ねぇよなぁ」
鉱山から村まで殆ど距離がねぇ。早期に押さえ込まなきゃ村が壊滅しちまうぜ。
ちぃと距離が離れてるっつーのに、怒号が聞こえてきそぉだぜ。
「みんな戦いの行く末を不安そうに見守ってらぁ。鉱山に現れた魔物は今まで溢れ出てきてなかったからなぁ」
想定外の出来事って言う、甘い見積もりツケがこのパニックよ。だぁかぁらぁ、村の守備が穴だらけになるってもんだ。
注意が鉱山に向いている隙にドワーフの女性を攫う。狙いは、人妻。新妻だろぉが熟女だろぉがお構いなしだ。
実家ではキリよく十人って言ったが、運ぶ手間考えっと五人が限度だな。
僕自らが赴いて、クモの糸で目と口を塞いで離脱する。
どいつもこいつもずんぐりむっくり、まとめて運ぶにゃ重くて堪らねぇわ。
人質は丁重に扱えって言うが、生憎コイツらは餌でしかねぇからなぁ。乱雑なぐらいが丁度いい。
僕が目的を達したと同時に、鉱山から魔物の排出を止めたぜ。
こっからドワーフたちの好転が始まり、やがては地上に出た魔物を全滅させんだろぉが、村に目を戻した頃には更なる惨状が終了してる。
クモの糸で雁字搦めにした人妻共を、森の隠し通路から搬入。
大広間で全員解放するとそりゃもうピーピーうるさく迫ってきやがる。頑として気の強いドワーフ女どもだ、攫われただけで大人しくなるようなタマじゃねぇ。
だったらどうするか?
代表一人、今回は一番年上の熟女だな。僕の強さって言うか、恐怖をわからせればいい話だ。
再びクモの糸で身動きを封じてから、無数の小グモを這わせて全身から弱めの毒を注入してやる。
みっともない悲鳴と弱いながらも急激に毒で侵食されていく様は、他の人妻共を引き攣らせるのに充分な役目を買ってくれたぜ。
全身を埋め尽くされ、身体を痙攣させ、事切れて倒れる。
「とりあえずのサンドバッグ完成だな。素振りばっかで物を殴った感覚がねぇのは準備不足ってやつだろ」
動かない肉塊をクモの糸で吊し、散々振り回したフレイルを手に取った。
怯える視線を感じながら、僕は鈍い音をひたすらに鳴らしたぜ。
別角度からのピンクの視線は、僕をどう見てるのかねぇ。




