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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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340 使い心地

「歯ごたえがあって、しょっぱくておいしいお菓子だね。けど選択が渋くないかな? デッドってこういうのが好み?」

 アイポが出されたせんべいをバリボリ食べる。菓子はテキトーに日持ちしそうなのを選んだかんな。気づいたらシェイ好みのチョイスになってやがった。

 よくよく考えたらクッキーとかもそこそこ持つよな。まっ、いっか。

「ほっとけ。僕は菓子作りとか出来ねぇかんな。テキトーに持ってきただけだっての」

「ふーん。お茶も?」

「茶ぐらいだったらテキトーに湯ぅ沸かして淹れられるぜ。味はお察しだがな」

「それ自慢になってないヤツだよねー」

 ゆっくりと雑談を楽しむのも悪かぁねぇ。暇つぶしにはな。

 僕は遠くから聞こえるコウモリの音波を感じながら、腰を上げたぜ。

「デッド? きゃ」

 不審げに見上げてきたアイポだったが、大型のコウモリが三匹飛んできて悲鳴を上げたぜ。全長はアイポと同等ぐらいか。

「デッドどうしよ。魔物が」

「安心しろって。僕のペットみたいなもんだからよぉ。キヒヒっ、侵入者だとよ。鉱山奪い返しに来たんかねぇ」

 数は三人か。屈強なドワーフ共ねぇ。

「魔物がペットなんて普通じゃないよ」

 驚きで表情が固まってやがるな。そろそろ潮時かもな。アイポは悪ガキだけどイタズラレベルだ。犯罪に巻き込まれんのはごめんだろぉ。

「昔言わなかったかぁ。僕は魔王側だって。正確には魔王の息子だ。気にくわねぇヤツは雑にも丁寧にも殺すぜ」

 獰猛(どうもう)さを匂わせながら笑ってやる。引き下がるなら今だかんな。逃げてもアイポだけは標的にしないでおいてやっからよぉ。

 コレが最終通告だ。ぜってぇに選択間違えんなよ。

「そうだったね。わたしもとことん付き合ってあげる。たとえ邪魔でもついて行くんだからね」

 引きつった笑顔で近寄ってくんじゃねぇよバカ。昔も思ったんだが、何がアイポをそうさせるんだか。

「あっそ、好きにしろっての。さて侵入者だけど、魔物任せにするのもいいんだが、コイツの使い心地を試してみっかな」

 気を取り直す為、アイポにもらったフレイルを握るぜ。

「一生懸命作ったんだから、使いこなさないと許さないよ」

「無茶言ってくれるぜ。まぁいい、行くぞ」

「きゃ、デッドてば大胆なんだからー」

 先を急ぐ為に横抱きにして走り出したんだが、アイポがキャーキャー言い出しやがった。

 けっこう長く複雑に鉱山を造り変えたんだがな、道順わかってて何にも襲われないなら案外すぐに辿り着くぜ。

 居たな。ヒゲモジャの筋肉ダルマが三人。おーおー、堅そうな鎧も着込んじゃってぇ、重くねぇんかねぇ。

 警戒しながらじっくり進んでくんな。少しはダンジョンの進み方がわかってんじゃぁねぇか。

 洞窟の影にアイポを降ろしてから黙って隠れてるようジェスチャーし、悠々と歩いて近付く。

「何者だ。メチャクチャになった鉱山に一人で」

「鎧も身につけずにこんな場所に居るとは、不気味なヤツだ」

「……」

 僕を見てすぐに武器を構えやがった。斧が一に……剣が二、剣持ちの一人は盾付きか。

「キヒヒっ。喜べよ。ボスが直々に遊びに来てやったんだからよぉ」

 フレイルを肩に掲げながら待ち構えると、戦闘の剣持ちが盾を構えながら突進してくる。

 いぃ殺意じゃねぇか。コレでこそ()りがいあるってもんだぜ。

 盾を突き出しての体当たりをジャンプで躱しながら、兜を目がけてフレイルを叩きつける。

「がぁ!」

 一撃を受けただけで倒れ込んで動かなくなりやがった。兜めりこんでっからな。鈍器はコレだから取り回しが楽だ。

 一人やられて驚いてる場合じゃねぇぜテメェら。

 柄をビュンビュンと振り回しながら、鎧の隙間を狙って残る二人も撲殺する。

「けっ、のろまなヤツらだ。もういいぞアイポ」

 呼びかけるとアイポが震えながら出てきやがった。初めて戦い……ってか蹂躙(じゅうりん)を見せたかんな。今度こそビビったんだろ。動けるだけ上出来だろ。

「ホントに強いんだねデッド。わたしのフレイル、もう使いこなしてる。凄い」

 もっと他に言いたい事とかありそぉだけんな。むりやり飲み込みやがったか。

「いや、強引に振り回しただけで使いこなせちゃいねぇ。もうちょっと素振りとかして手に馴染ませねぇと、本番じゃ役に立たねぇだろぉな」

 武器に振り回されてる感じが否めなかったぜ。

 今回はザコどもだったから一方的に出来ただけだ。めんどうだが暫く鍛錬すっかな。

 アイポとの微妙な空気を感じながらも、フレイルを使いこなす事に意識を向けたぜ。

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