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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第5章 毒牙のデッド
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339 秘密基地

 何かと騒がしいアイポを引き連れながら、ヴェルクベルクを避けて蠢きの洞窟を目指すぜ。

「ねー、どこに行くのデッド。鉱山はヴェルクベルクに入って北だよ」

「あぁ、そっちは狡猾(こうかつ)な魔物がたくさんいて危険になってからよぉ。安全な隠し通路に向かってんだ」

 造り変えた際に最奥へ続くショートカットも用意したかんな。

 鉱山の出入り口から入ると様々な魔物が群れて待ち構えてる訳だが、森に出る隠し通路はそんな危険がないぜ。まっ、(せめ)ぇのが難点だがなぁ。

「デッドてばけっこう無茶苦茶な妄想言うよね。鉱山に隠し通路なんてあるわけないじゃん。そりゃ急に魔物は出てきたけれど」

 残念なヤツを哀れむように見上げてくんじゃねぇよ。

「おまえ僕をなんだと思ってんだっての。まぁいいや、実物見て驚くなよ」

「絶対ないよー。デッドてばお子ちゃまなんだからー」

 クスクス笑いながらも僕の後についてきやがる。目にもの見せてやるからな。

 暫く歩くと、森に隠れるよう造られた洞窟に辿り着くぜ。

「……うそ」

 アイポが足を止めて、呆然と眺めながら呟いたぜ。

「なにつっ立ってんだよ。入るぞ」

「あっ、待ってよデッドー」

 僕が先を歩くと急いでついてきたぜ。

 人が二人並んで歩ける程度の通路が続いている。壁も天井も無骨な岩肌だらけだ。足場だけは歩きやすいよう(なら)してあるぜ。

 この隠し通路だけは人影に反応して明るく照らすように魔法で調整してある。僕だけだったらそんな必要もねぇが、アイポも使うだろぉから気を遣ったぜ。

 なんもない狭い通路だってのにアイポが、わぁって感嘆の声をしきりにこぼしてらぁ。

 暫くすっと大広間に出たぜ。野球が出来るぐらいの広さは確保してあるが、地面はそこまで均してねぇ。至る所に岩が出っ張ってる部分があって、戦いの際に隠れられるように造ってある。

「広ーい。けどゴツゴツだね」

「寛ぐスペースならあっちにあるぜ。色々運びこんでっかんな」

 片隅を指差す。ふかふかのソファーにベッド、机や棚なんかも置いてある。棚の中は日持ちするおやつを用意してあるぜ。

「すごーい。デッドの秘密基地なんだね。よくこんな場所探したよね」

「秘密基地も言い響きだが、ここは僕の城だぜ。見た目洞窟だけんな」

 ご機嫌ではしゃいでんのはいいんだけどよぉ、そろそろ僕が鉱山造り変えたって認めてくれねぇかねぇ。

「ねーねー、このソファー座っていいの? 座るよ。すっごいふかふかー」

「勝手に座るんだったら僕に聞かなくてもよくねぇか。座っていいけどよぉ」

「デッドもこっち来て一緒に座ろうよ。何にもない寂しいところだけど」

 アイポが隣を手のひらで叩きながら僕を誘う。ってかさみしのは余計だっての。

 棚からコップとお茶、せんべいを出してから隣に座ったぜ。

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